クロード・ランチエ |
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本作の主人公。明らかにセザンヌをモデルにしたとみられる青年画家。物語前半までは第3巻『パリの胃袋』で見せた陽気な側面を保っているが、後半に入ると鬼気迫る芸術家となる。「不完全な天才」と評され、才能はありながらも大成することができない。 |
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クリスティーヌ |
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クロードの恋人、のち妻。パリへ出てきた一途な田舎少女で、クロードに対して純真な愛を注ぐ。頭より手足を使う仕事のほうが好き。ベンヌクール村にいるときは本当に幸せだったのに……。クロードの死後、健気に立ち直ったものと信じたい。 |
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サンドーズ |
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クロードの親友の文学青年で、のち成功して作家となる。生理学に基礎を置いた人間分析の文学を築きあげることを目指し、木曜日に友人たちを自宅に集めて食事会を開く。明らかにゾラ自身がモデルである。クロードを見守り、その先駆的価値を作中で擁護する役割を果たす。 |
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デュビューシュ |
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建築学校に通う学生。プラッサン出身で、クロード、サンドーズと三人組の親友だったとされているので、セザンヌ、ゾラの親友であった数学者バイユがモデルか。一時期、クロードらと疎遠になってしまい、友情のはかなさを感じさせて少し悲しい。 |
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アンリエット |
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サンドーズの妻。ということは一応ゾラの妻アレクサンドリーヌに重なるわけである。サンドーズとの間に子どもがいない点も一致する。作中では出番こそ少ないが、夫のよき助言者であり、ほとんど非の打ちどころのない妻として描かれている。 |
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ジョリー |
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クロードの仲間のひとり。美術批評家。放蕩者で、一時期イルマと愛人関係になるが、その後どういうわけか薬草屋のおかみマチルドに手なづけられて結婚する。時流に乗って、どの流派に対しても調子のいい記事を書いている。 |
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ファジュロール |
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クロードの仲間の画家。画商ユーに才能を評価されて大成功をおさめ、かつての仲間たちと疎遠になる。しかしユーの商売は投機的な価格吊り上げ工作にすぎず、その評価には実体がともなっていないので、やがて破滅することは運命的である。 |
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マウドー |
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クロードの仲間の彫刻家。マチルドをモデルに『ぶどう摘み女』、『水浴する女』などを制作。彫像の中に入れる鉄の支柱が買えなかったので、ほうきの柄で代用したところ、これがたたって完成間近に倒壊してしまう。これが物語後半の暗い雰囲気へ転回していく象徴的な事件である。 |
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イルマ・ベコー |
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脇役の中ではピカイチの個性を放っている、パリの若い娼婦。陽気で、気まぐれで、謎めいた振る舞いを見せる。クロードに気があるようでもあり、クリスティーヌから一方的に嫉妬される。本作に登場する女性のなかでは最も魅力的な人物かもしれない。 |
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ボングラン |
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クロードらよりも一世代上の大画家。学士院のメンバーとなるが、自分の流行が去りつつあることを感じている。芸術家人生の非情な一面を体現し、サンドーズとともにクロードの埋葬に立ち会う。この人物の中にも、作家ゾラの感慨を見て取ることができよう。 |
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