ブールドンクル |
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ボヌール・デ・ダームの幹部、オクターヴの腹心。オクターヴと一対で、彼の極度の楽観にブレーキをかけるために存在するかのような、厳格な実務家。従業員からは怖れられているが、締まり屋のブールドンクルの日常的な細かい配慮があればこそ、ボヌール・デ・ダームは成り立っているとも言えよう。 |
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オーレリー夫人 |
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外套部主任。同じくB.D.の従業員であるロンムと結婚したのでロンム夫人と呼ぶべきであるが、夫よりも実力があるので名前で呼ばれている。自分の息のかかった従業員を多数もっており、「ロンム系従業員」の頭となっている。唯一の欠点はぐうたら息子のアルベールを溺愛しすぎていることだろう。 |
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ブーテマン |
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ボヌール・デ・ダームの幹部のひとり。オクターヴを通じてアンリエットと知り合いになるが、後に自分の地位に不満を抱き、アンリエットの力を借りて独立しようと試みる。しかし彼の新設デパート「四季」は開店まもなく火災事故によって焼失してしまった……。お気の毒。 |
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ポーリーヌ・クノー |
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リンネル部の女店員で、ボヌール・デ・ダームにおけるドニーズのいちばんの親友。ドニーズが新人だったころから彼女をかばい、あれこれと相談にのる。 |
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クララ・プリュネール |
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外套部の女店員。入って間もないドニーズの垢抜けなさを嘲笑し、その後もずっとドニーズのライバル的存在となる。一時はオクターヴの愛人であり、またエルボーフ店の従業員コロンバンを魅惑してその婚約者ジュヌヴィエーヴを苦しめる。 |
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アンリ・ドローシュ |
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レース部に所属する、ドニーズと同郷の青年。B.D.に雇用されたのもドニーズと同じ日である。真面目な若者であり、ドニーズに好意を抱いているようであるが、その想いは実らず、最後にはB.D.を退職して田舎へ帰ってしまう。彼に対しては作者のなおざりな扱いが目立ち、少々可哀想な人物である。 |
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ユータン |
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絹物部に所属する好青年。B.D.の男店員のなかではドニーズに優しく接した最初の人物である。このためドニーズは彼に感謝の気持ちを抱き、一時はそれを愛情と思いこむ。しかしユータンは単に色男なのであり、のちにドニーズへの軽蔑をうっかり暴露してドニーズを幻滅させる。 |
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ジョーブ |
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ボヌール・デ・ダーム私設警備員。店内を絶えず巡回し、さぼっている店員を発見してブールドンクルに密告するのが生きがいのジジイ。たまにさぼってもいない店員を密告することもあり、それはたとえば、彼の誘いにのらなかった女店員というような場合である。 |
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ボーデュ |
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絹布を商う老舗エルボーフ店の主。すぐ近くに開店したB.D.によって経営を圧迫され、廃業の危機に直面している。本来は堅実な商人であり、決して悪い人間ではないが、作中ではひなびた暗い店の奥で不平をこぼしてばかりいるので、あまり魅力的ではない。 |
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ジュヌヴィエーヴ |
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ボーデュの娘、ということはドニーズの従姉にあたる。商店主の娘として、旧来の慣習どおり、住み込み従業員コロンバンと婚約していた。しかしコロンバンがさびれた店を継ぐことに見切りをつけて駆け落ちしてしまったのでひどく傷つき、もともと病弱だった身体を悪化させて病死してしまう。ボヌール・デ・ダームによって破滅させられた人物の最たるものと言えよう。 |
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コロンバン |
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エルボーフ店の従業員。はじめは真面目な従業員だったが、B.D.の女店員クララに魅せられ、後に別の女店員と駆け落ちしてしまう。もともと出番が少ないのでその間のいきさつは不明。要するに、B.D.が提供する華やかな消費生活に幻惑されてしまったのであろう。 |
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ロビノー |
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絹物部のもと副主任。B.D.での出世に見切りをつけて、老舗の絹物商ヴァンサールの店を譲り受けて独立する。独立してやっていけると成算をたてたのであろうが、結果的には破産しかかった店を手放したがっていたヴァンサールの策略にはまった形になる。最初ドニーズにB.D.の就職口を斡旋してくれたのがロビノーであり、けっこう面倒見のいい男なので、ちょっと気の毒である。なお、奥さんが美人。 |
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ブーラ |
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B.D.に対抗して古くからの洋傘店を守り続ける老人。ドニーズは一時期ここに就職した。B.D.の隣地に店を持っており、オクターヴへの反感から、巨額の補償金を積まれても土地を手放そうとしない。地上げに立ち向かう小売店主の役どころである。だが、やがて店が破産して土地は差押さえられ、結局オクターヴの手に落ちる。そのときにはわずかな金しか残らない。頑固すぎるところがあったとはいえ、明らかに商業の犠牲者のひとりである。 |
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