あらすじ
贅沢に飽きたシンドバードは今度は自ら船主となって出航した。しかしある島に停泊したとき船客たちが何も知らずに怪鳥ロクの卵から雛を引きずり出して焼肉にしてしまったので、両親のロクの報復を受けて船は沈んでしまう。シンドバードはある島に流れ着いて川にさしかかったところ、川を渡りかねている老人がいたので肩車で渡してやる。しかしこの老人は、相手が死ぬまで肩の上にしがみつくという恐ろしい「海の長老」であった。シンドバードは海の長老を担がされたまま日々を送るが、あるとき葡萄酒を作ることを思いついたところ、海の長老がそれを飲んでフラフラになったので運よく長老を振り落として殺す。シンドバードは別の船に救出されて島を出、別の島にある「猿が町」で椰子の実を集める。これを元手に真珠を採取して大金持ちになったシンドバードは無事バグダードに帰還する。
解説
【第五の航海に出た理由】
第五の航海の物語をするにあたって、船乗りシンドバードは航海に出た動機の説明から始めている。
私は第四の航海から戻りますと、悦びと楽しみと慰みのうちにすっかりひたりきって、ほどなく、もう過去の苦しみも忘れ果て、目覚ましい行為と自分の稀代の冒険しか、思い出さないような有様でした。従って、いろいろの人々の住む国々のほうへと、新たな航海を唆かす私の魂に、私が従わずにはいなかったと申し上げても、皆様これを怪しみなさることはございません。(v4p494)
うん。もう怪しまない。
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