ブルゴス出立[詩節1-13] |
叛意を疑われてドン・アルフォンソ王から追放を命じられたエル・シードは、ミナーヤ・アルバル・ファニェス、マルティーン・アントリーネスなどの忠臣60騎とともに旅立つ。ブルゴスの街の住民はエル・シードに同情していたが、王に命じられていたため宿も食糧も提供できなかった。エル・シードの一行はアルランソーン河畔で野営し、マルティーン・アントリーネスが私物の食糧を提供する。 エル・シードは一計を案じ、砂を入れた二つの櫃を用意して財宝の詰まった櫃と偽り、これを担保に高利貸しラケールとビダスから軍資金として銀600マルコを借りる。欲に目がくらんだ二人の高利貸しはまんまと騙される。 |
ラケールとビダス、金を貸す |
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サン・ペドロ・デ・カルデーニャ[詩節14-18] |
一行はサン・ペドロ修道院のあるサン・ペドロ・デ・カルデーニャに到着する。エル・シードは銀50マルコ分の食糧を調達し、また妻と二人の娘の身柄をドン・サンチョ修道院長に預け、その滞留費として銀100マルコを支払う。ここまでで六日が経過し、王に命じられた国外退出の期限が迫る。別れの儀式ののち、エル・シードらは出発する。 |
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旅路(エスピナーソ・デ・カン〜ミエーデスの山脈)[詩節18-21] |
エル・シード一行の旅路。サン・ペドロ・デ・カルデーニャから南進。 [エスピナーソ・デ・カン → サン・エステーバン → アルクビーリャ → (国境越える) → フィエルゲーラ → ミエーデスの山脈] |
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カステホーン[詩節22-25] |
エル・シードは軍の生計を維持するため、カステホーンの町の攻略を企てる。住民が町の外の耕地を見回っている隙をついてエル・シードはカステホーンを占領し、さらにミナーヤが率いる挺進隊がイタ、グアダラハーラ、アルカラー・デ・エナーレスなど周辺の町へ侵攻する。戦利品は莫大な量にのぼり、騎馬一人につき銀100マルコ、歩兵一人につき銀50マルコが割り当てられた。エル・シードは全体の五分の一を取り分として受け、これをもとの持ち主たちに銀3000マルコの破格の安値で買い取らせる。 |
エル・シードの第一の戦い |
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旅路(アンギータ〜アテーカ)[詩節26] |
エル・シード一行の旅路。カステホーンから東進。 [アンギータ → アリーサ → セティーナ → アラーマ → ブビエールカ → アテーカ] |
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アルコセール[詩節27-45] |
エル・シードはモーロ人の町アルコセールをおびやかし貢納を強いるが、街の明け渡しは拒まれたので、攻略を試みる。エル・シードは食糧が尽きたため退却すると見せかけてモーロ人をおびき出し、難なくアルコセールを占領する。アルコセールの住民はバレンシア王国の王タミーンに救援をもとめ、タミーンはファリス、ガルベの二将に3000人の兵を与えてアルコセールの近郊カラタユードへ派遣する。 モーロの大軍はアルコセールを包囲し、戦線が膠着したまま三週間が過ぎる。血気にはやるエル・シードの旗手ペドロ・ベルムーデスがひとり敵陣へ突入したのをきっかけに全面的な交戦が始まり、エル・シードはモーロ軍に1300人の損害を与える。敵将ファリスはエル・シードが、ガルベはマルティーン・アントリーネスがそれぞれ負傷させ、モーロ軍は潰走する。 エル・シードは戦利品のうち軍馬30頭をドン・アルフォンソ王への献物とし、使者としてミナーヤ・アルバル・ファニェスを派遣する。またアルコセールが手狭になったので、もとの住民たちに銀3000マルコで町を買い取らせ、南へ向けて出発する。 |
エル・シードの第二の戦い |
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モンレアール付近ミオ・シードの丘[詩節46] |
エル・シードはモンレアールの近くにある丘の上にとどまり、ダローカ、モリーナ、テルエールなど周辺の都市に貢納を命じる。この丘は「ミオ・シードの丘」と名づけられた。 |
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ミナーヤ、ドン・アルフォンソ王と会見[詩節47-48] |
ミナーヤはカスティーリャに至りドン・アルフォンソ王と会見する。エル・シードからの献物の軍馬を嘉納したドン・アルフォンソ王はミナーヤを許し、また国内の武将がエル・シードに協力することを許可する。 |
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テーバルの松林[詩節49-53] |
エル・シードはテーバルの松林に軍をすすめ、付近一帯を荒らし回ったため、サラゴーサの都もまた貢納を約束する。王との会見から戻ったミナーヤほか200騎と歩兵多数がエル・シードに合流し、一団はさらにアルカニィース地方を荒らし回る。 |
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アルカーント峠[詩節54-63] |
エル・シードはアルカーント峠に陣を張り、ウエーサ、モンタルバーンを襲撃して恭順させる。このときバルセローナ伯は、保護領を荒らされた償いを要求すると称してエル・シード軍に向けて出陣する。しかしエル・シードは実際にはバルセローナ伯領には侵入しておらず、伯の行動は賠償要求を名目とした戦利品横取りのもくろみであった。 エル・シードはバルセローナ伯と交戦し、伯を捕らえて勝利する。バルセローナ伯はエル・シードに帰順して解放される。エル・シードは、バルセローナ伯が用いていた銀1000マルコ以上の値打ちとされる名剣コラーダを獲得する。 |
エル・シードの第三の戦い
エル・シード、名剣コラーダを得る |
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