ほくろ |
La mouche, 1853 |
[あらすじ] 近衛旗手の地位を求める地方貴族ヴォーヴェールは、ルイ15世への取りなしを頼むため愛妾ポンパドゥール夫人に接近しようとする。不器用なやり方にもかかわらず、偶然のいたずらによってポンパドゥール夫人の知遇を得たヴォーヴェールは、虚実の渦巻く宮廷のなかで実権をふるうポンパドゥール夫人の不思議な魅力に翻弄されていく。 |
周知のごとく、ルイ十五世はあらゆる種類の弱さを持っている反面、強さというとわずか一つしかない。血も涙もないという強さである。 (翻訳文献1、404ページ) |
恋は旅心に水をさす、気晴らしの種ができるから――こう言った人がいる。かと思うと、旅は恋心を鍛えあげる、恋を夢見る暇ができるから――こう言った人もいる。 (翻訳文献1、411ページ) |
いつまでも同じことを繰り返しているくせに、自分ではつねに生れ変ったようなつもりでいるのは、馬鹿のほかには、恋人たちしかいない。 (翻訳文献1、418ページ) |
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トリアノン宮の描写が微細にわたっており、雰囲気がよく出ている。ただ話の展開は少々間延びした感じがする。 |
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DATA:『ほくろ』 |
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