SYUGO.COMカテゴリマップ
ミュッセを読む 生涯と年譜 戯曲 中編
特集トップへ 書評 講読ノート データベース

短編小説 - ミュッセ

白つぐみ物語
Histoire d'un merle blanc, 1842
[あらすじ] つぐみには珍しい純白の羽根と美しい声をもって生まれたために凡庸な両親からうとまれた白つぐみは、自分の同類を探すために巣を旅立つ。さまざまな種類の鳥と出会いながら理解者を探し求めるが、その美しい歌を理解できる仲間にはついに出会えず、白つぐみはやがて孤独な詩人の魂を抱えて憂愁に沈むのだった。
心理 事件
かなり露骨に風刺的な短編。主人公の白つぐみには詩人ミュッセの孤独が投影されており、我が道をゆく白いんこカカトガンはユゴー、白つぐみを欺く才女つぐみはジョルジュ・サンドを模していることが明らか。
関連リンク
DATA:『白つぐみ物語』

ミミ・パンソン
Mimi Pinson, 1845
[あらすじ] お針子を愛人にして遊興にふける良家の子弟たちとは対照的に、美徳と誠実を心に抱く医学生ウジェーヌは恋を遠ざけていた。しかし友人から紹介されたお針子ミミ・パンソンは、嫌悪と憐憫とが入り混じった不思議な感情をウジェーヌに抱かせる。やがて病気に倒れた貧しいお針子仲間の窮状に際して、ミミ・パンソンがとった行動とは……。
心理 事件
これまた「学生とお針子」のパターンだが、ミミ・パンソンの人物造型が見事である。ミュッセのヒロインのなかでは、私はミミ・パンソンがいちばん好きだ。
関連リンク
DATA:『ミミ・パンソン』

ほくろ
La mouche, 1853
[あらすじ] 近衛旗手の地位を求める地方貴族ヴォーヴェールは、ルイ15世への取りなしを頼むため愛妾ポンパドゥール夫人に接近しようとする。不器用なやり方にもかかわらず、偶然のいたずらによってポンパドゥール夫人の知遇を得たヴォーヴェールは、虚実の渦巻く宮廷のなかで実権をふるうポンパドゥール夫人の不思議な魅力に翻弄されていく。
周知のごとく、ルイ十五世はあらゆる種類の弱さを持っている反面、強さというとわずか一つしかない。血も涙もないという強さである。
(翻訳文献1、404ページ)
恋は旅心に水をさす、気晴らしの種ができるから――こう言った人がいる。かと思うと、旅は恋心を鍛えあげる、恋を夢見る暇ができるから――こう言った人もいる。
(翻訳文献1、411ページ)
いつまでも同じことを繰り返しているくせに、自分ではつねに生れ変ったようなつもりでいるのは、馬鹿のほかには、恋人たちしかいない。
(翻訳文献1、418ページ)
心理 事件
トリアノン宮の描写が微細にわたっており、雰囲気がよく出ている。ただ話の展開は少々間延びした感じがする。
関連リンク
DATA:『ほくろ』

ホーム特集ミュッセを読む [ 生涯と年譜 | | 戯曲 | 中編 | 短編 ]ページプロパティ
ページの一番上に戻ります。 ひとつ上の階層に戻ります。