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メダン記念館

ゾラが『居酒屋』の印税でメダンに建てた別荘で、現在はゾラの記念館として使われている。鉄道のすぐ脇にありセーヌ河も近い。ゾラは多くの作品をこの別荘で執筆し、モーパッサン、ユイスマンスなどの後輩作家を毎週この館に招いて交流をもった。ここから生まれた6人の作家の短編集『メダンの夕べ』に収録された『脂肪の塊』がモーパッサンの成功のきっかけとなったことは有名である。
ゾラが住んでいた当時のままに保存された館の内部を見学できるほか、ゾラとその作品をめぐる物品が展示されている。入館するとまず地下室で15分くらいのビデオを見せられた後、ガイド付きで館の中を案内してくれる。ガイドの所要時間は約一時間。

メダン記念館
名称 メダン記念館(La Maison d'Émile Zola à Médan)
所在地 26, rue Pasteur, 78670 MÉDAN
開館時間 土曜・日曜の14時から18時まで
見学料金 5ユーロ/1人
交通 パリ、サン・ラザール駅から国鉄マント・ラ・ジョリ(Mante-la-Jolie)行きの列車に乗って四駅目、ヴィレンヌ・スュル・セーヌ(Villennes-sur-Seine)で下車。ホームを出て右手(パリ方面)に向かい約二キロ歩く。分かれ道のたびに標識が出ているので迷うおそれはないが、開館時間が限られているうえに列車が一時間に一本しかないので、フランス国鉄の時刻表検索で事前に時間を調べてから行くのがよい。
2003年1月現在

私の場合

 メダンはパリ郊外、サン・ラザール駅から国鉄で約25分のところにある。パリから日帰りで往復できる距離ではあるものの、慣れない外国人にとってはやはり少々緊張する。メトロで気軽に移動できるパリ市内と違って列車の本数も少ない。事前に調べておいた時刻表とめざすメダン記念館の開館時間(ものすごく短い)とを照らし合わせて、13時22分パリ発の列車に乗ることに決めていたのだが、私は危うく乗り損ねそうになった。なぜかというと、発車直前までトイレを探してサン・ラザール駅の周りをうろうろしていたからで、それも元をただせば、その前に立ち寄ったモンマルトル墓地のトイレがぶっ壊れて使用不能になっていたからであり、なんとかタダでトイレを使える場所がないかと悪あがきをしたからである。しかし結局トイレは見つからず、あきらめて時間ぎりぎりに列車に乗ったら、トイレは列車の中にあったのであった……。
 市内のメトロと違って郊外線の車内は何となく安心できる雰囲気なので荷物を抱えたままちょっとうたた寝して、13時49分に最寄り駅ヴィレンヌ・スュル・セーヌに到着。それにしても、サン・ラザール駅で乗車するときはコンポスタージュのための機械に切符を通すだけだったし、降りるときも駅の扉を開けて出るだけで検札はなし。その気になれば無賃乗車もできてしまうと思ったのだが、もちろんそんなことはしない(今回の旅行中に検札というのを一度経験してみたかったのだが、けっきょく一回も来なかった)。
 駅を出るといきなり田舎で、これが首都から30分の町とは信じられない光景である。メダン記念館までは駅から徒歩30分と聞いていたが、どっちへ行けばいいのかもわからず、こんなところで道を間違えると取り返しがつかないので駅員に聞いてみる。私と同年代くらいの男の駅員に記念館の住所を見せて尋ねると、駅出口の右手のほうを指さして約2キロメートル、と言った。方角はわかったけどそれだけじゃ不安なので、地図はないかと聞いてみる。すると、オー、ノンノンとやけに大げさにのけぞり、「地図なんかなくたってわかるさ」みたいなことを言って笑ってる。
 ほんとかよコラ。オレはきょう一日しか時間がないのだぞ。そして目的の場所はあと四時間もすれば閉館してしまうのだぞ。もし道に迷って記念館に行きつけないどころかパリにも帰れなくなったら、おまえが責任とるんだろうな。……と、内心思ったのだが、とりあえず引き下がって、言われた方に歩いていく。
 しかし結論から言うと、たしかに道はヤツの言ったとおり簡単にわかった。田舎だから道の本数が少ないし、逐一標識が出ているのでそれに従って歩くだけでよかったのである(下図)。
メダン記念館への標識1

メダン記念館への標識2
メダン記念館・インフォメーション

メダン記念館・ゾラの胸像
 さて、ぶじ目的地に着いて入館。入館料を払う場面で言葉が通じなくてまた一苦労したのだが、ゾラ展のときと大差ないので省略。ちなみにこのときの受付の女性も"Tu ne comprends pas."と言いやがった。中途半端にフランス語がわかるというのもなかなかに業腹なものである。あとはビデオを見てからガイドつきで館の中を案内してもらう。ちなみにその回の訪問者は私を含めて5人だけ。別荘の各部屋はゾラにまつわるものの展示室としても利用されているのだが、今はゾラ展のほうに貸しているものも多いようであった。庭にはゾラの胸像が置いてある(左図)。
 ひととおり見終わって記念館を出るとすでに四時過ぎ。パリへ帰るための列車は20分後で、それを逃すとさらに一時間後。周囲にはタクシーも見当たらない。ということで徒歩30分の道のりを走って戻るハメになる。駅へ戻ると、さっき道を聞いた駅員がまだ窓口にいるので、パリへ戻る切符をヤツから買ったわけだが、なんだか知らないけどオレを見て笑ってる(ような気がする)。とはいえべつに悪気は感じないし、こっちも首尾よく目的を果たしたわけだから、まあいいか。

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