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(2002/05/29)

新しいページ:フランス文学データベース「16世紀文学史」


16世紀フランス文学史

 16世紀はルネサンス(Renaissance)の時代であった。ルネサンスとは、(1)古代文化の再発見(原典主義)(2)人間に対する信頼の回復、を本質とする古代文化・古代芸術の復興運動である。これは文学においてはユマニスム(人文主義)として表れ、中世封建秩序を大きく変容させていく使命を担った。
 同時に、聖書から直接キリストの教えを汲もうとする動きが、ドイツのルター、オランダのエラスムスなどによって始まり、中世封建社会を揺るがすもう一つの力、すなわち宗教改革(Réforme)を形成する。しかし、宗教改革はやがて激しい宗教弾圧と宗教戦争をもたらし、フランスの国土を荒廃させることにもなる。
 フランスの16世紀は、中世を脱却しつつ17世紀絶対王政への橋渡しの役目を担う、混沌と苦難の時代であった。
資料
作家一覧
作品年表
キーワード
ルネサンス
宗教改革
人文主義(ユマニスム)
プレイヤード派
ルネサンス前期(1515-1534)
 学問・芸術を奨励し、宗教改革者にも好意的であったフランソワI世(François I)の治下、フランスにもまたルネサンスの花が開く。1530年、フランソワI世により現在のコレージュ・ド・フランスの基礎となる高等教育機関が創設されると、古典ラテン語、ギリシア語、ヘブライ語などが教えられ、ユマニスム(humanisme)の本拠となった。カルヴァンらによって推進された宗教改革もこれに歩調を合わせ、文芸復興の時代が始まる。フランスはこの時期、偉大なユマニスト、ラブレーを生んだ。
マルグリット・ド・ナヴァールデ・ペリエ
マロラブレー
カルヴァン 
最初の一冊
・ラブレー『ガルガンチュワ』
・ラブレー『パンタグリュエル』
 マルグリット・ド・ナヴァールはフランソワI世の姉。マロは常套句の多用、複雑な韻を特徴とする押韻派(Rhétoriqueurs)の影響を受け、機知に富んだ定型詩(épigrammeやépître)を残した。ラブレーの作品には教育論・博識・時代風刺といった傾向が見られる。またカルヴァンの仕事はフランス語散文の発達に影響を与えた。このほか、ルネサンス時代の知識人としてはギリシア学者のビュデ、聖書研究家のルフェーヴル・デタープルなどがいる。

ルネサンス中期(1534-1560)
 1534年、檄文事件(Affaire des Placards)をきっかけにしてフランソワI世の態度は硬化し、宗教弾圧へと転じる。続くアンリII世(Henri II)の治世(1547-1559)において、ユマニスムは次第に宗教改革と袂を分かち、古代の文献に沈潜する傾向を強めた。
 イタリア詩や古代詩の影響を受けたリヨン派(L'Ecole lyonnaire)プレイヤード派(la Pléiade)と呼ばれる詩人の一派が現れ、後者に属するデュ・ベレー、ロンサールなどが、古代詩に匹敵する詩をフランス語で書くことを試みた。
演劇その他
リヨン派プレイヤード派ジョデルアミヨ
セーヴデュ・ベレーガルニエ(悲劇)パーキエ(法律)
ラベロンサールラリヴェー(喜劇)エチエンヌ(文法)
最初の一冊
・『ロンサール詩集』
 この時期、中世風演劇がようやく衰え、新しい演劇が現れる。主な作家として、フランス語で最初に演劇を書いたジョデル、詩人でもあったガルニエ、モリエールに影響を与えたラリヴェーがいる。またアミヨはプルタルコスの『対比列伝』を仏訳した。

ルネサンス後期(1560-1598)
 1560年アンボワーズ陰謀事件を契機に、フランスには宗教戦争の嵐が吹き荒れる。これはアンリIV世(Henri IV)によるナントの勅令(1598年)まで続くが、この間、乱れた世相を反映して、モンリュックやドービニェに代表される「戦いの文学」が栄えた。その一方、ルネサンス精神が成熟を迎え、ルネサンス最大のモラリスト、モンテーニュが登場する。
ドービニェモンリュックモンテーニュ
最初の一冊
・モンテーニュ『エセー』
 モンテーニュは1570年に隠遁生活に入り、体系的な思想こそ著さなかったが、大量の断章的省察を残した。その立場はストア主義(stoïcisme)から懐疑論(scepticisme)、自然への服従へと変遷が見られる。また、パリ市民数人の合作とされる風刺文『サチール・メニッペ』(1594)はこの時期のものである。

「最初の一冊」は、その時代の文学を知るのに適した有名かつ易しい作品で翻訳を入手しやすいものを、主観的に選んだ。

参照文献

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