あらすじ
作者が語る「千一夜物語」の、
作中人物であるシャハラザードが語る「船乗りシンドバードの物語」の、
作中人物である船乗りシンドバードが語る。
もう旅に出るのはよそうと考えていたシンドバードだが、教王からセレンディブ王への返礼の進物を運ぶ使者を命じられ、やむなく再びセレンディブに赴く。セレンディブ訪問を終えた帰途、潮流のせいで船は「海の果て」へと流され、巨大な海の怪物に呑み込まれてしまう。ある島に流れ着いたシンドバードは前回の冒険と同じ方法を思いつき、白檀の木で作った筏で川を下る。筏はやがて沿岸に住む老人に救われ、シンドバードは老人に救われて手厚くもてなされた。シンドバードは筏の材料の白檀を競売にかけて財産を築き、老人が死ぬまではこの町を離れないという条件で老人の娘と結婚するが、ほどなく老人は往生する。ところで、この町の住人の男は毎年春になると翼が生えて空を飛ぶことができるのであった。町を離れる前にいちど空を飛びたいと願ったシンドバードは知り合いの男に頼んでぶら下がらせてもらうことになるが、空中旅行のさなかに感激したシンドバードがアッラーを讃える言葉を口にすると、男はシンドバードを罵倒し山の頂上に置き去りにして行ってしまう。困惑したシンドバードが二人の神秘的な美貌の若者の導きのおかげでやっとのことで山を降ると、蛇に呑まれかけている男がおり、救い出してみたところそれは先ほどシンドバードを置き去りにしていった男であった。男は恩に報いてしぶしぶシンドバードを家に送り届ける。帰宅したシンドバードを迎えた妻は、この町の住人は実は悪魔の兄弟だということを知らせるのだった。シンドバードはもはや躊躇せず、莫大な財産と妻を伴ってバグダードへと帰還する。この第七の冒険の間にじつに七年の歳月が経過していた。