フランス文学|ロチ

ロチ

ピエール・ロチ(Loti, Pierre 1850-1923

[フランス語] 20世紀前半の小説家。

生涯

本名ルイ・マリ・ジュリアン・ヴィヨ。ロシュフォールで公務員の第三子に生まれ17歳で海軍兵学校に入学。海軍士官となった19歳以降、60歳まで海軍の職にあって全世界を周航し、その豊富な経験をもとにエキゾチックな小説を執筆する。当時さかんだった自然主義には与せず、印象派を思わせる絵画的手法を取り入れた卓抜な外光描写のなかに憂愁に満ちた悲恋物語を配して、19世紀から20世紀文学への橋渡し的役割を果たした。1891年アカデミー会員。

代表作
氷島の漁夫
Pêcheur d'Islands
1886
男たちが毎年命を賭けてアイスランド近海へ遠洋漁業に出かけてゆくブルターニュの寒村プルバラネックに、ひときわたくましく腕利きの漁夫ヤンが住んでいた。親友の幼なじみだった令嬢ゴードに好意を寄せるヤンは、もちまえの片意地からゴードにつれなくしてしまうのだが……。
ロチの五作目の長編小説であり、その代表作とされる傑作。過酷な環境のもとで生きる素朴で平凡な庶民の姿と、そこに暮らす若い男女の悲劇的宿命を瑞々しい筆致で描き出す。漁夫たちの前に展開する大海の絵画的描写にはロチの才能が遺憾なく発揮されている。
作品(原題のアルファベット順)
作品名 原題名 区分 発表年 翻訳
アジヤデ Aziyadé 小説 1879
お菊さん Madame Chrysanthème 小説 1887 1929〈野上豊一郎訳〉
ロチの結婚 [Le] Mariage de Loti 小説 1880
同僚イヴ Mon frère Yves 小説 1883
氷島の漁夫 Pêcheur d'Islands 小説 1886 1978〈吉氷清訳〉
ラムンチョ Ramuntcho 小説 1897
アフリカ騎兵の物語 [Le] Roman d'un spahi 小説 1881
翻訳書
書名 編訳者 発行月 収録作品
岩波文庫『氷島の漁夫』 吉氷清 1978-10 氷島の漁夫
岩波文庫『ラムンチョ』 新庄嘉章 1955-02 未確認
岩波文庫『アヂィアデ』 佐藤輝夫 1952-11 未確認
岩波文庫『アフリカ騎兵』 渡辺一夫 1952-03 未確認
岩波文庫『東洋の幻影』 佐藤輝夫 1952-03 未確認
岩波文庫『少年の物語』 津田穣 1943-06 未確認
岩波文庫『ロティの結婚』 津田穣 1937-11 未確認
岩波文庫『お菊さん』 野上豊一郎 1929-05 お菊さん
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