繊細な恋愛心理にふれた18世紀の名作喜劇。
"Le Jeu de l'amour et du hasard", 1730
『愛と偶然との戯れ』(進藤誠一訳、岩波文庫、1935年)
【1】 18世紀フランスの喜劇作家マリヴォーの代表作。 人に教えられて初めて気がついたのだが、このアイデアについては、マリヴォーが『千一夜物語』から影響を受けたのかも知れない、と私は考えている。『千一夜物語』にも同じような話(ただし、身分の入れ替えは女の方だけ)が出てくるのである。 【2】 劇そのものは非常にテンポがよく展開していくが、特にマリオとシルヴィアの兄妹のやりとりが私には楽しかった。こういう気の利いたかけ合いのできる兄妹には、憧れてしまう。リゼットとアルルキャンの侍女・従僕カップルも、ある意味では磊落で、好感が持てる。この劇の結語、アルルキャンがリゼットに語った次の言葉は、民衆のたくましさを感じさせて、痛快である。 お互いの本性を知るまでは、あんたの持参金のほうが、あんたよりえらかったが、今ではあんたのほうが持参金よりえらいだけのことさ。(102ページ) |
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