学生時代から気になってはいたが、読む機会を逸していた作品のひとつ。新版の刊行が始まったのを機に読み始めることにした。
「第1部 灰色のノート」を読了した時点での覚え書きを残しておくことにする。
登場人物相関図




※図の標題は「~家」としてあるが、家族に含まれない人物でも、その一家と関わりの深い人物は近くに配置しておいた方が便宜であることから、図に含めているものがある。今後、図を補充していくなかで位置づけを再考する。
他の作家・作品・故事への言及
本作では登場人物の発言中に、実在の芸術家やその作品、故事などへの言及がしばしばみられる。この場合、言及されている事項にまつわる文化的な文脈を知っていると、その発言の趣旨がよく理解できるように思える。
とはいえ、それらのすべてを直ちに参照していると小説自体をなかなか読み進まなくなってしまいそうなので、とりあえずリストとして書き出し、簡単な下調べをしておくだけにする。
なお、当サイト内に関連ページのある項目についてはリンクを設定した。
- p.12 『岩頭の処女』
訳者割注より、ダヌンチオの小説(イタリア文学、Le Vergini delle Rocce)。ジャックが隠し持っていた本で、ビノ神父の評価では「あやしい書物」。
- p.13 ジャン・ジャック・ルソー『懺悔録』
ルソーの『告白』のこと。ジャックが机の中に隠し持っていた本で、ビノ神父によると「言語道断」な本。
- p.13 ゾラ『ムレ神父の罪』
ジャックが机の中に隠し持っていた本のひとつで、ゾラの『ムーレ神父のあやまち』。ビノ神父によると「言語道断」で「けがらわしい小説」。
- p.84 ミュッセの詩集
ジャックが普段から読んで感動している詩集。ミュッセは19世紀の詩人。また、ダニエルが貸してくれた本としても後に言及されている(p.164)。
- p.85 ゾラ『壊滅』
ダニエルが読み終わり、ジャックに貸すと手紙で約束した小説。ゾラのルーゴン・マッカール叢書第19巻の『壊滅』。ダニエルによると「その力と深さとが美しい」。
- p.85 『ウェルテル』
むろん、ゲーテの『若きウェルテルの悩み』と思われる。ダニエルがこれから読むとジャックへの手紙で告げている小説。
- p.85 ジップ『彼女たちと彼』
ダニエルがこれから読むとジャックへの手紙で告げている本。ジップ(Gyp)は、訳者割注によるとフランス閨秀作家(1849-1932)。
- p.87 アルモディオスとアリストジトン
古代ギリシアの同性愛の恋人同士で、民主政の礎を築いたという故事の残る伝説上の人物。ジャックは以前に、これを題名とする詩をつくっている。
- p.90 モーパッサン『水の上』
モーパッサンの短編小説の『水の上』。「にせ芸術家、にせ天才のいつわりを発見」するという話題にからんでジャックが手紙の中で言及している。
- p.133 ジュル・ヴェルヌ
ヴェルヌは19世紀の科学小説家。ジャックがダニエルに対して、自分の家では「さし絵のはいったジュル・ヴェルヌ風の本」しか与えられないと愚痴をこぼしている。ジャックの評価では「愚にもつかない書物」の例。
- p.164 ラプラード
ダニエルが貸してくれた本としてジャックが言及している名のひとつ。19世紀の画家ピエール・ラプラード(Pierre Laprade)のことか。
- p.164 シュリ・プリュドム
ダニエルが貸してくれた本としてジャックが言及している名のひとつ。シュリ=プリュドムは19世紀の詩人。
- p.164 ラマルティーヌ
ダニエルが貸してくれた本としてジャックが言及している名のひとつ。ラマルチーヌはロマン派四大詩人のひとり。
- p.164 ヴィクトル・ユゴー
ダニエルが貸してくれた本としてジャックが言及している名のひとつ。ユゴーはロマン派四大詩人のひとり。
- p.164 ミュッセ
p.84でも言及。ミュッセもロマン派四大詩人のひとりである。
- p.168 グルーズ
18世紀の画家、ジャン=バティスト・グルーズ(Jean-Baptiste Greuze, 1725-1805)。家出から連れ戻されたジャックを迎えるチボー氏を、「罪をおかした息子が、自分の膝下にひざまずきにくるのを待っている」ようだとたとえるのに、その絵が引かれている。チボー家の客間にその複製が掛けられているというが、『罰せられた息子』のことか。
2026-09-30