あらすじ
わたしは1月6日の御公現の祝日に、父の知人であるシャンタル氏の家を例年どおり訪問した。夕食の後、公現祭の王さまにわたしが選ばれる。女王を指名するよう催促されたわたしは、シャンタル氏が娘の結婚を念頭に置いているのに気づいて慎重になり、シャンタル家の家事管理人である老嬢マドモワゼル・ペルルを女王に指名する。つつましやかなペルル嬢が恥じ入るのを見て、わたしはペルル嬢に関心を持つ。わたしはシャンタル氏にマドモワゼル・ペルルの身の上を訊ねる。シャンタル氏は、彼が15歳のとき、捨て子の女の子が彼の家に引き取られたいきさつを語った。その少女、マリー・シモーヌ・クレールが、長じて聡明な女性となり、シャンタル氏の母から「真珠(ペルル)」の愛称で呼ばれるようになったのだ。マドモワゼル・ペルルの若き日の美しさをなつかしく語るシャンタル氏に対して、わたしは、シャンタル氏が彼女を愛していたのだと指摘する。シャンタル氏は感極まって泣きだした。わたしがマドモワゼル・ペルルにこのいきさつを語り、シャンタル氏の気持ちを伝えると、マドモワゼル・ペルルもまた卒倒してしまう。わたしは後悔の念と共に、やるべきことをやったという満足感をもって、シャンタル家を立ち去るのであった。