題名とはうらはらに結婚した男の苦しみを示唆する。フランス中世文学のひとつ。
"Les Quinze Joyes de Mariage", 1400?
『結婚十五の歓び』(新倉俊一訳、岩波文庫、1979年)
【1】 「歓び」と称しつつ、実は結婚の苦しみを描いた中世フランスの風刺的作品。もっぱら結婚した男のほうの苦労が描かれる。「第一の歓び」から「第十五の歓び」まで十五の章に分かれているが、必ずしも体系的に十五の苦しみが扱われてはいず、どちらかというと、結婚の苦労を語った十五の小話といった風情である。基本的には、妻の金遣いの荒さ、妻の不倫、妻の怠惰、閨事のいざこざ、などを通じて、結婚生活に苦しむ夫をからかっている。 ちょっとした風刺の言い回しが、なかなか面白い。 空樽につめ込むように(32ページ)…酒を飲む様子 古長靴が水を吸い込むように(35ページ)…酒を飲む様子 父親が着飾らせてやらなければ、娘たちはもしかすると、衣装や装身具を手に入れる方法を見つけ出すかも知れぬが、その方法については言わぬことにする。(47ページ) 従兄弟――もしかすると、従兄弟でも何でもない――と連れ立って、舞踏会やお祭に足繁く出かけ、……(56ページ) それはちょうど、樽の臭いのしみこんだ葡萄酒を飲む人間と同様である(152ページ)…不快なことのたとえ |
|
![]() | |
![]() | ![]() ![]() |
![]() |