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千一夜物語 物語
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ろばと牛と地主の間に起こったこと

基礎データ
夜々 1夜の前
ページ vol. 1. Pp24-29
枠レベル 1
話者 シャハリヤールの大臣
えっち度 (なし)
千一夜物語(最外枠)
千一夜物語(最外枠)
商人と魔神との物語
枠構造
千一夜物語(最外枠)
ろばと牛と地主の間に起こったこと

あらすじ

 あるところに、鳥獣の言葉を解することのできる豊かな地主がおり、多くの家畜を飼って暮らしていた。ある日この地主が、自分のろばと牛が話しているのを聞いていると、こき使われることをぼやく牛に対して、仮病を使って怠けるようにろばが入れ知恵しているところであった。翌日、牛がぐずって働こうとしないので、地主は代わりに一日中ろばを働かせた。これに懲りたろばが、病気の牛は屠られるぞと牛を脅すと、その翌日から牛はまた真面目に働くようになった。

 このいきさつを見ていた地主はおかしくなって笑いころげたが、それを見た地主の妻は、自分が笑われているものと勘ぐって夫にからみ、笑っている原因を話すよう強要した。地主は自分の能力をひとに話すと死んでしまうのであったが、妻があまりにしつこくからむので、真実を話して死ぬことを覚悟する。ところがその日たまたま、50羽の妻のいる雄鶏が、生意気な妻はぶちのめすのが夫婦円満の秘訣だと犬に向かって語っているのを聞いたので、自分もこれを実践してみると、妻は従順になった。

解説

【強引な妻】

 はっきりとは書かれていないけれども、鳥獣の言葉がわかるというこの地主の能力は他人に話すと死んでしまうということになっているようである。話してはならないというのは、特殊能力とひきかえに課される制約としてはありがちな設定であり、その制約を破らなければならない状況が出来することで物語が盛り上がったりもするわけである。それはいいのだが、この物語では、その制約を破らねばならなくなる理由が「妻がごねたから」だというのがおかしい。

すると妻が聞いた、「何がそんなにおかしいのですか。」(……)夫は言った、「私は死ぬのがこわいから、それをおまえにもらすわけにはゆかぬのだ。」「それでは、この私のことがおかしいのですね。」それから、夫と喧嘩をはじめ、しつこくからむことをやめず、あまりのことに、ついには夫はすっかり困ってしまった。(v1p27)

けれども妻は言うのだ、「このひとが私に秘密を明かしてくれないことには、そのままにしてはおけません、たといそのためこのひとが死ぬことになろうとも。」(v1p28)

そこまでして知りたいか、おい。それに自分が笑われてると思っているのもほとんど言いがかりだし……。

ワンポイント・メモ

表現 元気 しっぽをふったり、音高くおならをしたり、右往左往、やたらと駆けまわったり。(v1p27)

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