第1歌章 |
ブルゴントの英雄たち/クリエムヒルトの夢 |
ライン河を擁する国ブルゴントはグンテル王に治められ、王弟ゲールノート、ギーゼルヘルなど数多の勇者と、王の妹の美しい姫クリエムヒルトがいた。クリエムヒルトはある日、美しい鷹が殺される夢を見る。それは彼女の未来の夫が殺される予知だという夢解きを、自分は決して結婚しないと言ってクリエムヒルトは退ける。 |
第2歌章 |
ジーフリトの誕生と成人 |
ニーデルラントのジゲムント王のもとに一人の王子が生まれる。ジーフリトと名づけられた王子は成長してたくましい青年になった。 |
第3歌章 |
ジーフリト、ブルゴントへ出立/ハゲネが語るジーフリトの武勲/ブルゴントでの滞在 |
ブルゴントの美しい乙女の噂を聞いたジーフリトは、彼女を手に入れるためブルゴントへ旅立つ。ジーフリトの訪問を受けたブルゴントの人々の驚き。ブルゴントの勇者ハゲネによってジーフリトの勲と、その不死身の肉体の由来が語られる。ジーフリトはブルゴントに滞在を許される。 |
第4歌章 |
ジーフリト、ザクセンへ進軍/リウデガストを捕らえる/ザクセンを征服、凱旋 |
ザクセンとデンマルクが共同してブルゴントを攻めようとしているとの報が伝わる。おのれの力量を誇示するチャンスと見たジーフリトはデンマルク王リウデガストを迎撃してこれを捕らえ、ザクセンを征服する。ジーフリトの勇名が高まる。 |
第5歌章 |
饗宴/ジーフリトとクリエムヒルトの逢初め |
ブルゴントで凱旋の宴が開かれる。ジーフリトは初めてクリエムヒルトと会い、その美しさに魅了される。 |
第6歌章 |
グンテルら、プリュンヒルトに求婚するためイーゼンステインへ |
クリエムヒルトに対するジーフリトの求婚に対して、グンテルは条件として、イースラントの女王と自分の結婚に力を貸すように求める。グンテルとジーフリトの一行はイースラントの首都イーゼンステインへ向けて旅立つ。 |
第7歌章 |
グンテル、ジーフリトの助けを得てプリュンヒルトとの競技に勝つ |
ジーフリトはグンテルを立てるため、その家臣と称してイースラントに入る。イースラントの美しい女王プリュンヒルトは、自分に求婚する者に条件として三種の競技(槍投げ・石投げ・幅跳び)で力比べを挑み、一つでも負けた男は容赦なく殺していた。ジーフリトはかつてニーベルンゲンから奪った宝物の隠れ蓑を用いてひそかにグンテルに力を貸し、二人がかりでプリュンヒルトに打ち勝つ。プリュンヒルトはグンテルとの結婚を承諾する。 |
第8歌章 |
ジーフリト、ニーベルンゲンの国で1000人を募兵/グンテル一行、ブルゴントへ戻る |
イースラント人の敵意を感じたジーフリトはニーベルンゲンに赴いて1000人の兵士を募る。侏儒アルプリーヒとの闘い。ジーフリトは無事戻り、グンテル一行はプリュンヒルトを伴ってブルゴントへ帰還する。 |
第9歌章 |
ジーフリト、ブルゴントへ帰国の使者/クリエムヒルト、歓迎の準備 |
ジーフリトはブルゴントへの到着を控えて使者を送る。ブルゴントではクリエムヒルトが王妃歓迎の準備をすすめる。 |
第10歌章 |
プリュンヒルト歓迎される/プリュンヒルト、グンテルを拒絶/ジーフリトの助力/ジーフリト、プリュンヒルトの指輪と帯を持ち去る |
プリュンヒルトはクリエムヒルトに迎えられる。だが、家臣であるはずのジーフリトとクリエムヒルトを結婚させようというグンテルの意図を量りかねたプリュンヒルトはグンテルを問い詰め、納得を得るまで閨事を拒む。困り果てたグンテルはジーフリトに助けを求め、ジーフリトはまたもや隠れ蓑を使ってプリュンヒルトを屈服させる。ジーフリトはこの機会に彼女の指輪と帯を持ち去る。 |
第11歌章 |
ジーフリト一行、ニーデルラントに戻る/ジーフリト王となる/(10年間)王子グンテルの誕生/ジゲリント死去/王子グンテルの誕生 |
クリエムヒルトとの結婚を果たしたジーフリトはニーデルラントに戻り、王となった。そののち10年の間に、クリエムヒルトとジーフリトの間に王子グンテルが誕生し、ジーフリトの母ジゲリントは死去している。いっぽう、プリュンヒルトとグンテルの間にも王子が生まれ、ジーフリトと名づけられた。 |
第12歌章 |
ブルゴントからジーフリトとクリエムヒルトを招待/ジーフリトら応ずる |
ジーフリトがグンテルに臣下の礼を尽くさないことに不満を抱いていたプリュンヒルトは、グンテルに訴える。グンテルは困惑して、ジーフリトを宴に招待するという形で収めようとする。ブルゴントの招待を受けたジーフリトとクリエムヒルトはこれに応じる。 |
第13歌章 |
ブルゴントでの再会/饗宴 |
ジーフリトとグンテルはブルゴントにて再会する。盛大な宴が催される。 |
第14歌章 |
クリエムヒルトとプリュンヒルトの決裂/ブルゴントの怒り/ハゲネ、ジーフリト殺害をグンテルに決意させる |
クリエムヒルトとプリュンヒルトは夫の自慢話がきっかけでいがみ合い、クリエムヒルトはプリュンヒルトをジーフリトの側妻だったと言って侮辱する。王妃に対する侮辱にブルゴント勢は憤り、勇者ハゲネはジーフリトの殺害をグンテルに決意させる。 |
第15歌章 |
ハゲネ、ジーフリトの急所をクリエムヒルトから聞き出し、ジーフリトを狩りに誘う |
ハゲネはジーフリト暗殺の計画を立て、彼の弱点を探る。ハゲネは戦闘のときジーフリトを守るためと称して、ジーフリトの唯一の弱点(首の後ろ)をクリエムヒルトから聞き出す。 |
第16歌章 |
狩り/ハゲネ、ジーフリトを暗殺 |
グンテルらはジーフリトとともに狩りに出かける。ジーフリトが一休みして泉の水を飲んでいるとき、ハゲネはジーフリトの弱点を槍で突き通し、ジーフリトを殺害する。 |
第17歌章 |
クリエムヒルトの嘆き/ジーフリトの埋葬 |
ジーフリトの死体はクリエムヒルトのもとに戻り、クリエムヒルトは激しく嘆き悲しむ。ハゲネが近づくとジーフリトの死体が血を流すのを見て、クリエムヒルトは下手人が誰かを悟る。ジーフリトは盛大に埋葬される。 |
第18歌章 |
ジゲムントの帰国/クリエムヒルト、ブルゴントに残る |
ジゲムントは悲しみに沈んでニーデルラントへ帰国する。クリエムヒルトはジゲムントの誘いを断り、ブルゴントに残る。 |
第19歌章 |
(3年半後)ニーベルンゲンの宝、ブルゴントに引き取られる/ハゲネ、宝をライン河に沈める |
3年半が経ち、ジーフリトが所有していたニーベルンゲンの莫大な財宝はブルゴントに引き取られる。クリエムヒルトがこの財宝を用いて復讐を企てることを怖れたハゲネは、財宝をライン河に沈めてしまう。 |
第20歌章 |
リュエデゲール、エッツェルの使者としてクリエムヒルトを迎えにたつ/クリエムヒルト承諾 |
フン族の国の王エッツェルは、夫を失ったブルゴントの美しい姫の噂を聞き、妃に迎えたいと思った。エッツェルの辺境伯リュエデゲールはクリエムヒルトを迎える使者に立ち、ブルゴントに至る。兄たちへの復讐の機会を窺っていたクリエムヒルトはエッツェルの力を目当てに求婚を承諾する。 |
第21歌章 |
クリエムヒルト一行の旅路 |
クリエムヒルトは大勢の供を従えてフン族の国へ旅する。リュエデゲールの城での滞在。 |
第22歌章 |
クリエムヒルト、エッツェルに迎えられエッツェルンブルクへ |
クリエムヒルトはフン族の国の首都エッツェルンブルクに到着し、エッツェル王に歓迎される。 |
第23歌章 |
(7年間)オルトリエプの誕生/(再婚から13年後)クリエムヒルト、ブルゴントに招待の使者を送る |
それから7年後にエッツェルとの間に息子オルトリエプが誕生する。この間もクリエムヒルトはブルゴントへの恨みを忘れず、再婚から13年後、報復の願いを心のうちに秘して、ブルゴントに招待の使者を送る。 |
第24歌章 |
ブルゴント、招待を受諾 |
ハゲネはクリエムヒルトの招待を危ぶみ、応じないことをグンテルに進言する。しかしグンテルはクリエムヒルトを疑わず、招待を受諾する。 |
第25歌章 |
グンテル一行の旅/水の乙女の予言/一行ドーナウ河を渡る |
ブルゴントの一行はフン族の国へ向けて旅立つ。ドーナウ河を渡る際、ハゲネは予言の力のある水の乙女と出会い、一行のうち一人の司祭を除いては誰も生きて帰れないだろうと告げられる。不吉な予言に腹を立てたハゲネは、予言が当たらないことを証明しようとし、その司祭を河に突き落として殺そうとする。司祭は一人でもとの岸へ泳ぎ帰り、国へ戻った。残る人々はドーナウ河を渡り、フン族の国へ向かう。 |
第26歌章 |
エルゼの復仇/ゲルプフラート討たれる/グンテル一行、リュエデゲール領へ |
渡河の際、ドーナウの渡し守をハゲネに殺された領主エルゼは、復讐のため兄弟のゲルプフラートとともにブルゴント勢を襲う。しかしゲルプフラートはダンクワルトに討たれ、エルゼは兵を引く。ブルゴント勢はリュエデゲール領に入る。 |
第27歌章 |
リュエデゲールの城での歓待/ギーゼルヘルの婚約/出立 |
ブルゴント勢はリュエデゲールの城で歓待される。グンテルの末弟ギーゼルヘルはリュエデゲールの息女と婚約を交わし、リュエデゲールの妻ゴテリントはハゲネにヌオドゥンクの楯を与える。一行は惜しまれながら出立する。リュエデゲールが彼らに同行する。 |
第28歌章 |
ディエトリーヒの警告/一行エッツェルンブルクに着く |
エッツェルの食客ディエトリーヒは、ブルゴント勢がフン族の国に入ったのを聞いて、彼らのもとに赴き、クリエムヒルトの復讐の企みについて警告を与える。しかしハゲネらは聞き入れない。一行はエッツェルンブルクに到着する。 |
第29歌章 |
クリエムヒルトとハゲネ緊迫/エッツェルの歓待 |
クリエムヒルトとハゲネが再会する。クリエムヒルトの詰問に対し、ハゲネはジーフリト殺害の事実を認て開き直る。クリエムヒルトの憤りと緊迫。エッツェルは何も知らずにブルゴント勢を歓迎する。 |
第30歌章 |
最初の夜/ハゲネとフォルケール歩哨に立ち、クリエムヒルトの手兵を退ける |
エッツェルンブルクでの最初の夜、ハゲネとフォルケールの二勇者が歩哨に立ち、クリエムヒルトの動きを牽制する。クリエムヒルトが復讐のため用意した手兵は二人を怖れて手を出すことができない。 |
第31歌章 |
寺院詣で/紅白試合/クリエムヒルト、ブレーデリーンを説得 |
翌日、ブルゴント勢は寺院に詣で、また紅白試合で武勇を発揮する。クリエムヒルトは、エッツェル王の弟ブレーデリーンに懇願して、ブルゴント勢を襲撃するように仕向ける。 |
第32歌章 |
ブレーデリーン、ダンクワルトを襲撃して討たれる |
ブレーデリーンはハゲネの弟ダンクワルトの食卓へ襲撃をかけ、ついに衝突が起こる。ブレーデリーンはダンクワルトに討たれる。 |
第33歌章 |
広間の乱戦、オルトリエプ死/エッツェル、クリエムヒルト、ディエトリーヒ、リュエデゲールら脱出 |
エッツェルらと会食中だったハゲネは、ダンクワルトから襲撃の事実を聞き知り、その場でクリエムヒルトの子オルトリエプの首を切り落とす。ブルゴント、フン族の両陣営は完全に決裂し、広間は乱戦の場となる。エッツェル、クリエムヒルト、ディエトリーヒ、リュエデゲールらは広間から脱出し、グンテルらは広間にたてこもる。 |
第34歌章 |
ブルゴント勢、エッツェルをののしる |
フン族の戦士たちはハゲネの勇猛を怖れて広間に近づけない。ブルゴント勢は彼らの臆病を嘲笑い、広間の死体を外へ投げ落とす。フン族の人々の悲嘆。 |
第35歌章 |
イーリンク、ハゲネに傷を負わせる/ハゲネ、イーリンクを討つ/デンマルク勢の全滅 |
デンマルクの辺境伯イーリンク、ブルゴント勢に戦いを挑み、ハゲネに傷を負わせる。ハゲネは憤激し、イーリンクを討ち取る。デンマルク王ハーワルトが臣下とともに出撃するが、ブルゴント勢に全滅させられる。 |
第36歌章 |
クリエムヒルト、広間に火を放たせる |
クリエムヒルトはハゲネ一人を差し出せば他の者は助けるとブルゴント勢に持ちかけるが、彼らはこれを拒絶する。クリエムヒルトは広間に火を放たせ、ブルゴント勢を焼き殺そうとする。炎と煙に囲まれながら、ハゲネらは死体が流す血を飲んで生き延びる。 |
第37歌章 |
リュエデゲール、ゲールノートと相討ち/ベッヒェラーレン勢全滅 |
リュエデゲールはエッツェルへの忠誠とブルゴント勢への友情との間で葛藤するが、ついに止むなくブルゴント勢を討つためにたつ。グンテルの弟ゲールノートとの激しい戦いののち、リュエデゲールはゲールノートと相討ちで果てる。リュエデゲールの配下は全滅する。 |
第38歌章 |
アメルンゲン勢とブルゴント勢の戦い/フォルケール、ダンクワルト、ギーゼルヘル死/ヒルデブラント以外のアメルンゲン勢全滅 |
アメルンゲンのディエトリーヒは様子を探りに部下を遣わし、リュエデゲールの死を知り、ヒルデブラントらに命じて遺体を引き取りに赴かせる。アメルンゲン勢はリュエデゲールの遺体引き渡しを申し出るが、ブルゴント勢はこれを拒絶し、彼らを挑発したので、両者の間に戦闘が始まる。ブルゴントのフォルケール、ダンクワルト、ギーゼルヘル、相次いで討たれる。ハゲネとヒルデブラントの一騎打ち。アメルンゲン勢はヒルデブラントを残して全滅する。ブルゴント側の生残者もグンテルとハゲネのみ。 |
第39歌章 |
ディエトリーヒ、ハゲネを捕らえる/ディエトリーヒ、グンテルを捕らえる/クリエムヒルト、グンテルとハゲネの首を落とす/ヒルデブラント、クリエムヒルトを斬る |
部下を皆殺しにされたディエトリーヒは嘆き悲しみ、グンテルとハゲネに戦いを挑む。戦闘に疲れたハゲネはついに破れ、ディエトリーヒに捕らえられる。グンテルがディエトリーヒに挑むが、ディエトリーヒはこれをも生け捕りにする。二人が入れられた獄舎にクリエムヒルトが現れ、首を切り落として復讐を達成する。縛られた勇士を斬り捨てるという暴挙に憤ったヒルデブラントはクリエムヒルトを斬り倒す。後には嘆き悲しむエッツェル王たちだけが残される。 |