モーパッサン [中編小説] La Petite Roque, 1886
ある夏、ルーイ=ル=トール近郊、ブランディーユ川沿いのカルヴラン村の森の中で、郵便配達夫メデリックは、強姦された少女の全裸死体を発見する。少女は水浴び中に襲われ殺されたらしいことが判明するが、衣服はどこを探しても見当たらない。ところが翌日、嘆き悲しむ母親の家の戸口に、少女の木靴だけが返されていた。予審判事による捜査にもかかわらず犯人はわからず、秋を迎える。死体発見現場の森の所有者である村長ルナルデは、なぜか森の木を次々と伐採させ始める。少女が見つかった場所の大木を切り倒すとき、監督していたルナルデは衝動的に倒れてくる木の下に歩み寄るが、あやうく一命をとりとめる。殺人の犯人はルナルデであった。川で水浴びをしていた全裸の少女を盗み見、衝動的に犯して殺してしまった日をルナルデは回想する。だが、やがてルナルデの前に夜ごと少女の幻影が現れて、彼を苦しめる。次第に狂気に取りつかれていったルナルデは、自分の罪を告白する予審判事あての手紙を書いて投函するが、すがすがしい朝の空気の中で、手紙を書くのに夢中でその夜は幻影が現れなかったことに気づく。ルナルデは回心して手紙を取り戻そうとするが、郵便配達夫メデリックに拒否されたため、絶望して飛び降り自殺を遂げる。
版 | 編訳者 | 訳年 ↓ | 注記 | 文献 |
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太田浩一訳 | 太田浩一 訳 | 1998 | - | パロル舎『ロックの娘』 所収 |
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