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この項目が属するチャート 第4巻〈397〉スローベンドア2
このページには、ゲームブック『ソーサリー』のネタバレが含まれます。
謎の答えをあからさまには記していませんが、ゲーム展開についてそれなりに踏み込んだ内容に触れることがあります。
プレイヤーとしてゲームを遊び尽くした後で、ご覧になることをお勧めします。
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どのような展開によっても進入することのできない孤立した項目が本巻中に一か所だけ存在し、項目548がそれにあたる。ここではヴァリーニャとおぼしき男に命令された黒豹と戦うことになっており、獣を殺したら項目146、殺さないなら項目205へ進むように指示されているが、そもそもこの項目に進むよう指示する箇所がどこにも見当たらない。確認したところ、原書、東京創元社版、創土社版を通じて同様であり、もともと原書に由来する問題とみられる。おそらく、原作者がゲームを構築する過程で設けた分岐の一つが、編成途上で不要になったにもかかわらず、そのまま残ってしまったものであろう。
強いて項目548の位置づけを推測すると、二つの可能性が考えられる。手がかりとなるのは548からの移動先である146と205である。どちらもヴァリーニャから合い言葉を聞き出す展開となるが、黒豹を殺してしまった146では間違った合い言葉、命を助けた205以降では正しい合い言葉を教えられることになる。
ここから第一の仮説として、「428→548」という移動が想定される。ヴァリーニャと初めて対面した項目428では様々な選択肢が与えられるが、ここで自分から率先して攻撃的な態度を取るような選択肢があったとすると、項目548にうまくつながる。実際、項目428では、用心棒になることをヴァリーニャに申し出て、腕前を証明するために黒豹と戦闘する「428→94」の移動が存在するが、428→548はその展開によく似ている。項目428からの移動先として、項目94と並んで、あるいは、項目94が作られる前の棄却された代案として(こちらの方が有力)、項目548が存在したと考えられないだろうか。もっとも、このルートが実在すると、戦闘を仕掛けて力ずくで合い言葉を聞き出すというゴリ押しの攻略が可能なことになり、ゲームとしての興はそがれる。スローベンドアの正しい合い言葉という第一級の情報を入手するために慎重な行動が要求される他ルートとのバランスを考えると、このルートが除かれたのだとしても納得がいく。
第二の仮説は、項目160においてヴァリーニャを襲う選択をしたときの移動先として項目548が存在したというものである。項目160は、ヴァリーニャが金貨を要求してくるのをあくまでも拒み抜いた後の場面であり、文章の書きぶりからみても、戦闘不可避を予感させる状況となっている。ところが「武器を抜いて襲う」を選んだときの移動先205では、ヴァリーニャがあっさりと制圧されて正しい合い言葉を白状させられており、正直言ってかなり呆気ない。本来、ここに「160→548」という移動が介在しており、黒豹を倒すか瀕死まで追い詰めるかして初めて、合い言葉を聞き出すことができたのではないだろうか。項目548からの移動先としての146と205も、この流れでうまく収まりそうである。しかし問題は、項目160にたどりつくまでのルートにある。項目160に至るには、ヴァリーニャが金貨を要求してくる「42→132」というルートを経る必要があるが、このルートには、用心棒になると申し出て黒豹と戦った(そして命だけは助けた)後に進入することもあり得るのである。この場合、すでに打ち負かしたはずの黒豹(なぜか体力点が回復している)と再び戦うことになり、やや辻褄が合わない展開となる。そのため、ここにも項目548を活かすことは結局できないことになる。
以上を要約すると、項目548の孤立は、原作者がゲームを完成していく過程でおこなったパラグラフ改廃の名残りであり、不要となった項目が削除されないで残ってしまったものと考えられる。この項目があってもなくてもストーリーの展開に問題は生じず、ゲームの完成度にも影響はない。プレイヤーの立場からは、項目548は単純に存在しないものと考えて構わないだろう。このデータベース上では、いちおう本チャート〈397〉スローベンドア2に含まれるものとして処理してある。
この項目が属するチャート 第4巻〈397〉スローベンドア2
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