フランス文学|ユルスナール

ユルスナール

マルグリット・ユルスナール(Yourcenar, Marguerite 1903-1987

[フランス語] 20世紀の小説家。

生涯

ユルスナールは本名ド・クレイヤンクール(de Crayencour)のアナグラム。早くから古代ギリシア・ローマの古典に親しみ、ジッドの影響を受けながら26歳から小説を書き始める。該博な知識を基礎に、哲学的考察に富んだ歴史小説を残した。女性で初のアカデミー・フランセーズ会員となる。

代表作
ハドリアヌス帝の回想
Mémoires d'Hadrien
1951
死期を近く感じたローマの皇帝ハドリアヌスは、後継者と目している青年マルクス・アウレリウスにあてて、おのが生涯を語る。その回想は皇帝という外面の中に息づく、人間ハドリアヌスの苦悩と魂の遍歴とを明らかにしていった。
2世紀ローマの皇帝ハドリアヌスの生涯を、皇帝の回想の形式をとって追求した歴史小説。古代ローマへの深い知識をもとに、歴史的事実にフィクションを交えながら構成されたこの作品は、その乾いた文体と哲学的洞察によって際だっている。ユルスナールはこの作品によって一躍世界的名声を獲得した。
作品(発表年の古い順)
作品名 原題名 区分 発表年 翻訳
姉アンナ… Anna, soror... 短編
ピラネージの黒い脳髄 Le cerveau noir de Piranèse
流れる水のように Comme l'eau qui coule 作品集
青の物語 Conte bleu 短編
とどめの一撃 Le coup de grâce 長編 2017〈岩崎力2017年訳〉
1995〈岩﨑力1995年訳〉
夢の貨幣 Denier du rêve 長編
Feux 作品集
三島あるいは空虚のヴィジョン Mishima ou la vision du vide
アレクシス、あるいは空しい戦いについて Alexis ou le traite du vain combat 長編小説 1929 2017〈岩﨑力訳〉
東方綺譚 Nouvelles Orientales 作品集 1937
ハドリアヌス帝の回想 Mémoires d'Hadrien 長編小説 1951 2008〈多田智満子訳〉
黒の過程 L'œuvre au noir 長編小説 1968
追悼のしおり
 世界の迷路1
Souvenirs Pieux
 Le Labyrinthe du monde 1
回想録 1974 2011〈岩﨑力訳〉
北の古文書
 世界の迷路2
Archives du nord
 Le Labyrinthe du monde 2
回想録 1977 2011〈小倉孝誠訳〉
何が? 永遠が
 世界の迷路3
Quoi? L'Éternité
 Le Labyrinthe du monde 3
回想録 1988 2015〈堀江敏幸訳〉
翻訳書
書名 編訳者 発行月 収録作品
白水社『アレクシス あるいは空しい戦いについて/とどめの一撃』 岩﨑力 2017-12 アレクシス、あるいは空しい戦いについて ほか1編
白水社『何が? 永遠が』 堀江敏幸 2015-07 何が? 永遠が
白水社『北の古文書』 小倉孝誠 2011-11 北の古文書
白水社『追悼のしおり』 岩﨑力 2011-05 追悼のしおり
白水社『ハドリアヌス帝の回想』 多田智満子 2008-12 ハドリアヌス帝の回想
岩波文庫『とどめの一撃』 岩﨑力 1995-08 とどめの一撃
白水社『ハドリアヌス帝の回想』 1964 未確認
白水Uブックス『東方綺譚』 多田智満子 未確認
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