基本ルール

本作『血の島の地下迷宮』のルールは、「ファイティング・ファンタジー」シリーズの基本ルールをそのまま踏襲しており、特に変則的なところはない。
以下では、準拠文献（原書スカラスティック版）の解説に従ってゲームのルールを要約しておく。

• 主人公の基本点や手に入れたアイテム類は、冒険記録紙（Adventure Sheet）に記録する。
• 怪物との戦闘の経過は、「怪物との遭遇」欄（Monster Encounter Box）で処理する。

なお、次の略号を用いることにする。

• D（dieの略）は「1個の六面体サイコロを振って出た目の値」を意味する。Dの値は1～6の整数値となる。
• DDは「2個の六面体サイコロを振って出た目の値の合計」を意味する。DDの値は2～12の整数値となる。

原点数の決め方

ゲーム開始時に冒険の主人公（「君」と呼ばれるプレイヤーキャラクター＝PC）を作成し、基本的な能力を決める。
基本的な能力とは技術点（Skill）、体力点（Stamina）、運点（Luck）の三つであり、攻略記事中ではこの三つを総称して基本点と呼ぶ。
まず、基本点の原点数（Initial Level）をサイコロを使って決める。

• 原点数は、基本点の初期値かつ上限値である。
• ゲームの展開によって各基本点は絶えず変動するが、原点数は（特にその指示がない限り）変化しない。
• ゲーム中の指示により各基本点が上昇する場合でも、原点数を超えることはできない。
• したがって、その時点での基本点とは別に、それぞれの原点数は別途、保持しておかなければならない。
• 体力点がゼロになることは死を意味し、特に指示がなくともゲームは終了する。

戦闘の方法

ゲーム中で怪物と戦闘になった場合は、サイコロを用いて勝敗を決する。
特に指示のない限り、自分（PC）か怪物のどちらかが死ぬ（＝体力点がゼロになる）まで戦闘は続けられる。

戦闘は、自分と怪物が相互に攻撃チャンスをもつ回戦（Attack Round）の繰り返しにより行われる。
原則的な戦闘（一騎討ち）では、怪物の技術点と体力点を「怪物との遭遇」欄に書き出したうえ、次の手順に従って各回戦を進める。

• 怪物の攻撃力（怪物の技術点+DD）を算出する。
• 自分の攻撃力（自分の技術点+DD）を算出する。

一般に、技術点+DD（その回戦ごとの一時的な値）を攻撃力（Attack Strength）と呼ぶ。自分と怪物の攻撃力を比較して戦闘の判定を行う。

• 自分の攻撃力 > 怪物の攻撃力 の場合、自分の攻撃が成功し、怪物を負傷させた。（攻撃成功）
• 自分の攻撃力 < 怪物の攻撃力 の場合、怪物の攻撃が成功し、自分が負傷させられた。（負傷）
• 自分の攻撃力 = 怪物の攻撃力 の場合、互いに攻撃をかわし、どちらも負傷しなかった。（引き分け）

引き分けの場合には、この回戦は終了する。そのほかの場合は、負傷の処理をする。

• 攻撃成功の場合には、怪物の体力点から2点を引く。（この際、攻撃成功時の運試し（後述）をしてもよい。）
• 負傷の場合には、自分の体力点から2点を引く。（この際、負傷時の運試し（後述）をしてもよい。）

以上で一回の回戦が終了する。自分と怪物がいずれもまだ生存していれば、次の回戦に移って再び双方の攻撃力を算出する。
なお、1回戦、2回戦のような呼び方で回戦の回数をカウントすることがある。

怪物の体力がゼロになっていれば戦闘に勝利したこととなり、本文の指示に従って先へ進む。
自分の体力がゼロになったら死亡したことになり、ゲームは終了する。

逃走する場合

戦闘に際して、本文中にその選択肢が与えられている場合に限り、逃走（Escape）することができる。
逃走する場合には必ず負傷させられ、体力点を2点引く。

複数の怪物との戦い方

複数の怪物を相手に戦闘する方法について、ルール中には明記がない。冒険中にそのつど指示されることになる。

運試しの方法

冒険中、運試し（Test Your Luck）をするよう指示された場合には、DDの値を求め、その時の運点と比較して吉または凶を判定する。

• DD ≤ 運点 の場合、吉（Lucky）となる。
• DD > 運点 の場合、凶（Unlucky）となる。

運試しの結果にかかわらず、一回の運試しのたびに運点から1点を引く。

※運試しの判定が終わった後で、運点を1点引けばよいものと思われる。

戦闘の際の運試しの方法

戦闘の各回戦中、攻撃成功または負傷のいずれかのタイミングで、（指示がなくても任意に）運試しをすることができる。

• 攻撃成功時の運試しでは、吉と出れば怪物の体力点をさらに2点引くことができ、凶と出れば怪物の体力点を1点足し戻さなければならない。
• 負傷時の運試しでは、吉と出れば自分の体力点を1点足し戻すことができ、凶と出れば自分の体力点をさらに1点引かなければならない。

運試しの判定、および運試しのたびに運点を1点引くことについては、非戦闘時の運試しと同様である。

※逃走により負傷した際にも負傷時の運試しができるかどうかは明記されていないが、できると考えてよいであろう。

基本点の回復

• 技術点は原技術点を超えることはできない（既述）。
• 魔法の武器を持つことにより技術点が上がる場合がある。しかし同時に使える武器は一つであり、複数の武器の効果を重複して受けることはできない。
• 技術の薬（Potion of Skill）（後述）を飲むことにより技術点を原技術点まで回復することができる。

• 体力点は原体力点を超えることはできない（既述）。
• ゲーム開始時には、主人公は10食分の食料（Provisions）を所有している。冒険中、一度に一食のみ、いつでも好きな時に食事をとることができる。
• 食事をとることで体力点を4点回復することができる。食事をとるたびに食料を1食分減らす。
• 戦闘時に食事をとることができないとの明記はないが、常識的にみて不可と考えるべきであろう。
• 力の薬（Potion of Strength）（後述）を飲むことにより体力点を原体力点まで回復することができる。

• 運点は原運点を超えることはできない（既述）。
• 運の薬（Potion of Luck）（後述）を飲むことにより運点を原運点まで回復することができる。

装備と魔法薬

ゲーム開始時には、主人公は次の装備を身に着けている。

• 剣
• 食料の入った背嚢

これらの所持品を失うことで、基本点に影響が出たり、その後の選択肢が限定されたりすることがある。

また、冒険の出発にあたり、三種の魔法薬（Magic Potion）のうち1つを、自由に選んで持っていくことができる。

• 技術の薬（Potion of Skill）を飲むと、技術点が原技術点まで回復する。
• 体力の薬（Potion of Stamina）を飲むと、体力点が原体力点まで回復する。
• 運の薬（Potion of Luck）を飲むと、運点が原運点まで回復する。

※体力点を回復する魔法薬については、「力の薬（Potion of Strength）」と「体力の薬（Potion of Stamina）」という二つの表記が混在している。

魔法薬は戦闘時を除いて好きな時に飲むことができる。また、いずれの薬も一回飲むとなくなってしまう。

冒険の進め方

ゲームは、本文の指示に従ってパラグラフ（項目）を次々と遷移していくことにより進められる。

多くの場合、パラグラフの末尾には複数の選択肢が掲げられ、それに対応する遷移先パラグラフが示されている。プレイヤーは自分の判断でいずれかの選択肢を選び、指定された項目に進んで物語の続きを読み進んでいく。選んだ進路しだいでその後の冒険の有利・不利が影響されることになるため、その場面の描写から状況をよく観察し、賢明な選択をすることが重要となる。

自分の体力点がゼロになるほか、選択の結果として物語が行き詰まり、冒険が失敗に終わることもある。このような項目では次の遷移先が示されず（デッドエンド）、ゲームはそこで終了となる（ゲームオーバー）。

ゲームをクリアしたと言えるのは、冒険の目的を達成し、物語が満足な結末を迎えることができた時である。ゲームクリア項目は一般的には最終番号の項目であり、本作では［項目400］がそれにあたる。

繰り返しプレイの工夫

ゲームをクリアするための一つの真実の道（one true way）が存在し、それを見出すことができれば、初期のサイコロの目が悪くとも最小限のリスクで冒険をやり遂げることができる。迷宮内のすべての場所に宝物があるわけではなく、罠や怪物が配置されていたり、骨折り損（wild goose chase）に終わるような経路もあるため、メモを取ったり地図を描いたりすることが有効である。

通常は、一度のプレイでゲームクリアを達成することは困難であり、プレイヤーは失敗を繰り返しながら何度も冒険に挑むことになる。
ゲームオーバーとなった場合は、PCを新たに作成し、初期条件でゲームを再スタートする。前回の冒険で入手していた所持品などを持ち越すことはできない。

• 自分が選択した経路とその帰結を記憶・記録しておくことは、不正ではない。
• 前回の冒険で得たプレイヤー自身の知識や記録を次回の冒険で活用することは、不正ではない。
• 項目選択に際して「～を聞いていれば」や「～と会っていれば」といった条件が明示されているときは、その回の冒険で当該条件を満たしていない限り、その選択肢は選べない。

しかし結局のところ「まずはフェアプレイで楽しむのがよい」という程度であり、だんだんと遊び方を変えていっても、あえて反則行為と言挙げするまでもない。
自分自身が十分に満足したなら、後はどんなルール外のやり方で作品を読み込むのも自由である。

サイコロの代用

書籍の奇数ページ下部にランダムなサイコロの目が印字されている。サイコロが手元にないときは、適当なページを開いてサイコロの代用とする。
Dを求めたいときは左のサイコロの目を使い、DDを求めたいときは両方のサイコロの目を使う。

冒険記録紙

主人公の冒険行に関する情報を一元管理するために、冒険記録紙（Adventure Sheet）を用いる。

冒険記録紙は、基本点の変動や所持品の得喪など冒険に伴って絶えず変動する情報を記録しておくもので、プレイ中頻繁に書き換えるため、鉛筆による記入が推奨される。
また、書籍に掲載されている用紙には直接書き込まず、コピーして使うことがほとんど通念となっている。自分専用の冒険記録紙をデザインするのもよい。

なお本作固有の事情として、アイテムの材質（銅・鉄・真鍮など）がこと細かに記述され、「○○製の所持品をすべて失う」とか「△△製の所持品があれば助かる」とかいった指示がなされることがある。そのため、アイテムの入手時には、その材質も併せて記録しておくようにするとよい。

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