ソーサリー|基本ルール「怪物との闘い」 更新履歴

基本ルール

怪物との闘い

 冒険の途中で怪物に出会い闘うことになった場合、その怪物の技術点と体力点を冒険記録紙に書き出し、以下のルールに従って決着をつけなければならない。闘いは自分か怪物のどちらかが負傷することになる回戦の繰り返しによって行われ、自分か怪物か、いずれかの体力点がなくなる(死亡する)まで続けることになる。

戦闘の一回戦の流れ

攻撃力の算出

自分の技術点 + サイコロ2個の出目(DD) = 自分の攻撃力

怪物の技術点 + サイコロ2個の出目(DD) = 怪物の攻撃力

勝敗の判定

自分の攻撃力 > 怪物の攻撃力 のとき 勝ち → 負傷の処理へ

自分の攻撃力 < 怪物の攻撃力 のとき 負け → 負傷の処理へ

自分の攻撃力 = 怪物の攻撃力 のとき 引き分け → 次の回戦に移り、攻撃力の算出へ

負傷の処理

勝ち(怪物を負傷させた)

怪物の体力点を2点減

任意で運試し可能(強運点1点減)

  • 吉 → 深手(怪物の体力点をさらに2点減)
  • 凶 → かすり傷(怪物の体力点を1点戻す)

負け(自分が負傷した)

自分の体力点を2点減

任意で運試し可能(強運点1点減)

  • 吉 → かすり傷(自分の体力点を1点戻す)
  • 凶 → 深手(自分の体力点をさらに1点減)

勝敗の見積もり理論

 冒険の途中で怪物と遭遇した際、上記のルールを踏まえて勝敗のおおまかな見通しを立てることができれば戦術の決定に役立つだろう。単純な武器戦闘では勝利がおぼつかない、あるいは犠牲が大きすぎるとわかれば、術を使ったり、積極的に運試しを利用することもできるからだ。明らかに戦闘において最も重要な要素は技術点であるから、自分と怪物の技術点をもとに、おおよその勝算を見積もることは非常に大切である。

 そこで以下では、標準的な戦闘において、いくつかの基本要素から勝敗の見通しをすばやく見積もる方法を考案した。決定的な要素である技術点のほかに、サイコロ2個の目の出方を確率論的に勘案して、戦闘に勝利するために覚悟しなければならないダメージの大きさを簡易に算出できるようにしてある。なお考察を複雑にしすぎないため、さしあたって次のような前提を採用した。

サイコロの目の出方

 技術点は戦闘中には変動しないため、各回戦ごとの勝敗を左右するのは、自分と怪物のそれぞれについて算出するサイコロ2個の出目(以後DDと略する)である。出目ごとの確率は表1のとおりである。

表1. DD確率表

出目

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

確率

1/36

2/36

3/36

4/36

5/36

6/36

5/36

4/36

3/36

2/36

1/36

 各回戦で、自分と怪物についてそれぞれDDを算出する。自分のDDと怪物のDDのすべての組み合わせについてそれぞれ確率を求めると、表2のとおりとなる。

表2. DD×DD確率表

怪物

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

自分

確率

1/36

2/36

3/36

4/36

5/36

6/36

5/36

4/36

3/36

2/36

1/36

2

1/36

1

2

3

4

5

6

5

4

3

2

1

3

2/36

2

4

6

8

10

12

10

8

6

4

2

4

3/36

3

6

9

12

15

18

15

12

9

6

3

5

4/36

4

8

12

16

20

24

20

16

12

8

4

6

5/36

5

10

15

20

25

30

25

20

15

10

5

7

6/36

6

12

18

24

30

36

30

24

18

12

6

8

5/36

5

10

15

20

25

30

25

20

15

10

5

9

4/36

4

8

12

16

20

24

20

16

12

8

4

10

3/36

3

6

9

12

15

18

15

12

9

6

3

11

2/36

2

4

6

8

10

12

10

8

6

4

2

12

1/36

1

2

3

4

5

6

5

4

3

2

1

分母=1296を省略

技術点差と勝敗確率

技術点差=(自分の技術点)-(怪物の技術点)

 自分の技術点から怪物の技術点を引いた値を技術点差と呼ぶことにする。なお、戦闘時の攻撃力が増加するとか、サイコロの出目に加算できるといった効能の装備を持っている場合には、加算点数が一定であり、かつ戦闘中ずっと続くものである限り、それを加算したものをここでの技術点として差し支えない。特定の技術点差が与えられると、表2より、勝ち、負け、引き分け、のそれぞれの確率を求めることができる。たとえば技術点差が+2である(自分の技術点が怪物の技術点を2上回っている)とき、各場合の確率は、表3で色分けされた各領域の値の和として求められる。

表3. 勝敗判定表(技術点差が+2の場合)

怪物

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

自分

確率

1/36

2/36

3/36

4/36

5/36

6/36

5/36

4/36

3/36

2/36

1/36

2

1/36

1

2

3

4

5

6

5

4

3

2

1

3

2/36

2

4

6

8

10

12

10

8

6

4

2

4

3/36

3

6

9

12

15

18

15

12

9

6

3

5

4/36

4

8

12

16

20

24

20

16

12

8

4

6

5/36

5

10

15

20

25

30

25

20

15

10

5

7

6/36

6

12

18

24

30

36

30

24

18

12

6

8

5/36

5

10

15

20

25

30

25

20

15

10

5

9

4/36

4

8

12

16

20

24

20

16

12

8

4

10

3/36

3

6

9

12

15

18

15

12

9

6

3

11

2/36

2

4

6

8

10

12

10

8

6

4

2

12

1/36

1

2

3

4

5

6

5

4

3

2

1

分母=1296を省略

勝敗

勝ち

引き分け

負け

確率の和

861/1296

125/1296

310/1296

 このように技術点差が+2の場合、勝ちの確率が861/1296(66.4%)、引き分けの確率が125/1296(9.6%)、負けの確率が310/1296(24.0%)となる。技術点差の値ごとにこれを算出したものが表4である。

表4. 勝敗確率表

技術点差

勝ち

引き分け

負け

+5

1170

56

70

+4

1090

80

126

+3

986

104

206

+2

861

125

310

+1

721

140

435

0

575

146

575

-1

435

140

721

-2

310

125

861

-3

206

104

986

-4

126

80

1090

-5

70

56

1170

分母=1296を省略

被ダメージ倍率と想定被ダメージ

被ダメージ倍率=(負けの確率)÷(勝ちの確率)

 ここで、勝ちの確率に対する負けの確率の比(負けの確率÷勝ちの確率)を求める。この値は「怪物を1回負傷させる間に、自分が負傷させられる回数」を表す理論上の値とみることができる。原則として自分と怪物とで1回の負傷によるダメージ(体力点減)は等しいので、この値を「怪物に1点のダメージを与える間に、自分が受けるダメージ」の期待値として扱うことができる。これを被ダメージ倍率と呼ぶことにする。技術点差ごとの被ダメージ倍率を表5にまとめた。

表5. 被ダメージ倍率表

技術点差

+5

+4

+3

+2

+1

0

-1

-2

-3

-4

-5

被ダメージ倍率

0.06

0.12

0.21

0.36

0.60

1.00

1.66

2.78

4.79

8.65

16.71

小数第3位を四捨五入

想定被ダメージ=(怪物の体力点)×(被ダメージ倍率)

 自分との技術点差が確定している怪物について体力点が判明すると、怪物にその分のダメージを与える間に自分が受けるダメージの期待値が、怪物の体力点に被ダメージ倍率を乗じた値として求められる。これを想定被ダメージと呼ぶ。技術点差と怪物の体力点ごとに、想定被ダメージを一覧にしたものが表6である。この表を用いることによって、怪物との戦闘に勝利するまでにどの程度のダメージが予想されるかを簡便に知ることができる。

表6. 想定被ダメージ表

技術点差

+5

+4

+3

+2

+1

0

-1

-2

-3

-4

-5





4

0

0

1

1

2

4

7

11

19

35

67

5

0

1

1

2

3

5

8

14

24

43

84

6

0

1

1

2

4

6

10

17

29

52

100

7

0

1

1

3

4

7

12

19

34

61

117

8

0

1

2

3

5

8

13

22

38

69

134

9

1

1

2

3

5

9

15

25

43

78

150

10

1

1

2

4

6

10

17

28

48

87

167

11

1

1

2

4

7

11

18

31

53

95

184

12

1

1

3

4

7

12

20

33

57

104

201

13

1

2

3

5

8

13

22

36

62

112

217

14

1

2

3

5

8

14

23

39

67

121

234

15

1

2

3

5

9

15

25

42

72

130

251

16

1

2

3

6

10

16

27

44

77

138

267

17

1

2

4

6

10

17

28

47

81

147

284

18

1

2

4

6

11

18

30

50

86

156

301

19

1

2

4

7

11

19

32

53

91

164

317

20

1

2

4

7

12

20

33

56

96

173

334

小数第1位を四捨五入

(計算例)自分の技術点が10点で、マンティコア(技術点12、体力点18)と武器戦闘する場合。
「技術点差=-2」と「怪物の体力点=18」が交わる欄を参照すると50という値が得られる。これは、マンティコアに18点のダメージを与える間に、自分は50点のダメージを覚悟しなくてはならないことを意味する。(マンティコアは毒で6点のダメージを与えてくる場合があるので、実際にはさらに不利である。)要するに勝算はない。

[ダウンロード]想定被ダメージ表 印刷用PDF

ダメージ補正

 以上の計算は、自分と怪物のダメージが等しい(通常はどちらも2点)という前提に立っているが、実際の戦闘ではダメージが増減することもある。たとえば第1巻のダンパスで購入できる「みごとな造りの剣」を使っていると、自分のダメージは3点となる。そのような場合には、ダメージの増減が一定であり戦闘中ずっと続くものである限り、以下のような方法によって、表6の想定被ダメージを補正して利用することができる。

被ダメージ補正係数=(怪物のダメージ)÷(自分のダメージ)

 被ダメージ倍率はもともと「怪物を1回負傷させる間に、自分が負傷させられる回数」の理論値であるから、仮に自分のダメージと怪物のダメージの比が3:2であるならば、「怪物に3点のダメージを与える間に、自分が2点のダメージを受ける回数」を表していることになる。これは「怪物に1点のダメージを与える間に、自分が2/3点のダメージを受ける回数」と同視することができる。従って、被ダメージ倍率に3分の2を乗じた値を用いて想定被ダメージを計算することにより、ダメージの差を考慮したことになる。このように怪物のダメージを自分のダメージで除した値をその戦闘における被ダメージ補正係数(M)と呼び、被ダメージ倍率に被ダメージ補正係数Mを乗じた値を、Mの値を明示してM補正被ダメージ倍率と呼ぶ。たとえば、3分の2補正被ダメージ倍率は下表7のとおりとなる。

表7. 3分の2補正被ダメージ倍率表

技術点差

+5

+4

+3

+2

+1

0

-1

-2

-3

-4

-5

3分の2補正被ダメージ倍率

0.04

0.08

0.14

0.24

0.40

0.67

1.11

1.85

3.19

5.77

11.14

小数第3位を四捨五入

M補正想定被ダメージ=(怪物の体力点)×(M補正被ダメージ倍率)

または

M補正想定被ダメージ=(想定被ダメージ)×(被ダメージ補正係数)

 そこで、自他のダメージに差がある場合の想定被ダメージ(これをM補正想定被ダメージと呼ぶ)は、怪物の体力点にM補正被ダメージ倍率を乗じた値として求められる。これはまた、表6により求めた想定被ダメージに被ダメージ補正係数(M)を乗じた値と同じであるから、表6から簡便に計算することもできる。

(使用例)自分の技術点が10点で、マンティコア(技術点12、体力点18)と武器戦闘する場合。ただし「みごとな造りの剣」により自分のダメージは3点とする。
表6から得られた値50に3分の2をかけて、約33点のダメージが見込まれる。依然として勝算はない。

剣の選択

 冒険出発時に所持している普通の剣よりも性能の優れた剣として、第1巻のカントパーニで購入できる「広刃の剣」(戦闘時の攻撃力が1点増)と、同じく第1巻のダンパスで購入できる「みごとな造りの剣」(戦闘時のダメージが3点)がある。仮に両方を所持していても、武器としてはいずれか一つを選んで使わなければならないが、どちらの剣で闘うほうがより有利なのであろうか。

表8. 被ダメージ倍率比較表

技術点差

+5

+4

+3

+2

+1

0

-1

-2

-3

-4

-5

(無補正)被ダメージ倍率

0.06

0.12

0.21

0.36

0.60

1.00

1.66

2.78

4.79

8.65

16.71

3分の2補正被ダメージ倍率

0.04

0.08

0.14

0.24

0.40

0.67

1.11

1.85

3.19

5.77

11.14

小数第3位を四捨五入

 「広刃の剣」を使う場合の(無補正の)被ダメージ倍率と、「みごとな造りの剣」を使う場合の3分の2補正被ダメージ倍率との比較を表8に示した。広刃の剣を使う場合には攻撃力が加算されることにより技術点差が+1だけ有利になるから、両者の優劣は、「特定の技術点差=Nに対応する(無補正)被ダメージ倍率」と「技術点差=N-1に対応する3分の2補正被ダメージ倍率」との比較により判定できることになる。すると、たとえば技術点差=+2のときの(無補正)被ダメージ倍率(=0.36)よりも、技術点差=+1のときの3分の2補正被ダメージ倍率(=0.40)のほうが若干高いため、後者の方がより大きな被ダメージを見込まなければならないと言える。このような関係は技術点差Nがどの値をとる場合でも成り立っている。従って、一般的に倍率の低い「広刃の剣」で闘うことが理論上は有利だと言えよう。

 なお、「広刃の剣」を使い、さらに魔女アリアンナからもらえる「ラグナルの剣豪腕環」(剣を用いて闘う場合に限り攻撃力が2点増)を身につけていれば、相乗効果により攻撃力は3点増となる。ここまで強化するとようやく、マンティコアとの武器戦闘で勝機が生まれてくる。

(計算例)自分の技術点が10点で、マンティコア(技術点12、体力点18)と武器戦闘する場合。ただし「広刃の剣」と「ラグナルの剣豪腕環」により攻撃力+3。
表6より、「技術点差=+1」と「怪物の体力点=18」から得られる値は11である。十分な体力があり、マンティコアの毒攻撃をあまり受けずに済めば、勝利できる可能性もある。


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