「ファイティング・ファンタジー」シリーズのルールには共通点が多く、いちど覚えてしまえば他の作品でもそのまま通用することが多いが、作品ごとに若干の相違や個性も存在している。
この点、本作『トカゲ王の島』は、シリーズの中でも変則事項が少なく、基本ルールだけでプレイできる敷居の低い作品となっている。
以下では、準拠文献(社会思想社版)の解説に従ってゲームのルールを要約しておく。
なお、攻略データベース内では次のような略号を用いることにする。
D(die/diceの略)は「1個の六面体サイコロを振って出た目の値」を意味する。Dの値は1~6の整数値となる。
DDは「2個の六面体サイコロを振って出た目の値の合計」を意味する。DDの値は2~12の整数値となる。
ゲーム開始時に冒険の主人公(プレイヤーキャラクター=PC)を作成し、基本的な能力を決める。
基本的な能力とは技術点、体力点、運点の三つであり、攻略記事中ではこの三つを総称して基本点と呼ぶ。
まず、基本点の原点数をサイコロを使って決める。
原技術点 | D+6(7~12の値をとる) |
---|---|
原体力点 | DD+12(14~24の値をとる) |
原運点 | D+6(7~12の値をとる) |
ゲーム中で怪物と戦闘になった場合は、サイコロを用いて勝敗を決する。
特に指示のない限り、自分(PC)か怪物のどちらかが死ぬ(=体力点がゼロになる)まで戦闘は続けられる。
戦闘は、自分と怪物が相互に攻撃チャンスをもつ回戦の繰り返しにより行われる。
原則的な戦闘(一騎討ち)では、自分の技術点と体力点、怪物の技術点と体力点を書き出したうえ、次の手順に従って各回戦を進める。
一般に、技術点+DD(その回戦ごとの一時的な値)を攻撃力と呼ぶ。自分と怪物の攻撃力を比較して戦闘の判定を行う。
引き分けの場合には、この回戦は終了する。そのほかの場合は、負傷の処理をする。
以上で一回の回戦が終了する。自分と怪物がいずれもまだ生存していれば、次の回戦に移って再び双方の攻撃力を算出する。
なお、1回戦、2回戦のような呼び方で回戦の回数をカウントすることがある。
怪物の体力がゼロになっていれば戦闘に勝利したこととなり、本文の指示に従って先へ進む。
自分の体力がゼロになったら死亡したことになり、ゲームは終了する。
戦闘に際して、本文中にその選択肢が与えられている場合に限り、逃亡することができる。
逃亡する場合には必ず負傷させられ、体力点を2点引く。(この際、負傷時の運試し(後述)をしてもよい。)
一人で複数の怪物を相手に戦闘する場合には、その方法が本文中に指示されている。
特に指示がない場合には、複数の怪物と同時戦闘方式で戦うのが一般的である。
※攻撃対象としなかった怪物は、自分の攻撃力が優っていても負傷させられないことに注意。
※自分の攻撃力は相手ごとに算出するのではなく、同一の回戦中は、攻撃対象との比較に使ったものを他の個体にも使い回すという扱いのようである。(曖昧なルール記述)
回戦に参加するすべての怪物と戦闘の判定をすることで、一回の回戦が終了する。
冒険中、運試しをするよう指示された場合には、DDの値を求め、その時の運点と比較して吉または凶を判定する。
運試しの結果にかかわらず、一回の運試しのたびに運点から1点を引く。
※運試しの判定が終わった後で、運点を1点引けばよいものと思われる。(曖昧なルール記述)
戦闘の各回戦中、攻撃成功または負傷のいずれかのタイミングで、(指示がなくても任意に)運試しをすることができる。
運試しの判定、および運試しのたびに運点を1点引くことについては、非戦闘時の運試しと同様である。
ゲーム開始時には、主人公は次の装備を身に着けている。
これらの所持品を失うことで、基本点に影響が出たり、その後の選択肢が限定されたりすることがある。
また、冒険の出発にあたり、三種の魔法薬のうち1つを、自由に選んで持っていくことができる。
※ツキ薬を飲むと原運点が1点上がり、その上がった原点数まで運点が回復すると解してよさそうである。(曖昧なルール記述)
魔法薬は戦闘時を除いて好きな時に飲むことができる。また、いずれの薬も一回飲むとなくなってしまう。
ゲームは、本文の指示に従ってパラグラフ(項目)を次々と遷移していくことにより進められる。
多くの場合、パラグラフの末尾には複数の選択肢が掲げられ、それに対応する遷移先パラグラフが示されている。プレイヤーは自分の判断でいずれかの選択肢を選び、指定された項目に進んで物語の続きを読み進んでいく。選んだ進路しだいでその後の冒険の有利・不利が影響されることになるため、その場面の描写から状況をよく観察し、賢明な選択をすることが重要となる。
自分の体力点がゼロになるほか、選択の結果として物語が行き詰まり、冒険が失敗に終わることもある。このような項目では次の遷移先が示されず(デッドエンド)、ゲームはそこで終了となる(ゲームオーバー)。
ゲームをクリアしたと言えるのは、冒険の目的を達成し、物語が満足な結末を迎えることができた時である。ゲームクリア項目は一般的には最終番号の項目であり、一見してそうとわかるようになっている。
通常は、一度のプレイでゲームクリアを達成することは困難であり、プレイヤーは失敗を繰り返しながら何度も冒険に挑むことになる。
ゲームオーバーとなった場合は、PCを新たに作成し、初期条件でゲームを再スタートする。前回の冒険で入手していた所持品などを持ち越すことはできない。
しかし結局のところ「ゲームを楽しむにはフェアプレイが大切」ということに尽き、わざわざ反則行為を言挙げする性質のものではない。
何度もプレイして自分自身が十分に満足した後は、ルール外のやり方で作品を読み込んで研究するのも一興である。
主人公の冒険行に関する情報を一元管理するために、冒険記録紙を用いる。
冒険記録紙は、基本点の変動や所持品の得喪など冒険に伴って絶えず変動する情報を記録しておくもので、プレイ中頻繁に書き換えるため、鉛筆による記入が推奨される。
なにより、鉛筆を手に本を読み進めるというゲームブック独特の楽しみの一部を構成し、その回のプレイの記念ともなるため、プレイ後は(冒険の成否にかかわらず)保存しておくプレイヤーも多い。
そこから、冒険記録紙の原紙(書籍に添付されているのが普通だった)には直接書き込まず、コピーして使うことがほとんど通念となっている。
自分専用の冒険記録紙をデザインするところから、ゲームブックを楽しむこともお勧めである。
ゲームブックの情報論 ≫ トカゲ王の島 ≫ 攻略データベース ≫ 基本ルール |