ルーゴン・マッカール叢書第10巻(Les Rougon-Macquart 10)
ゾラ [長編小説] Pot-Bouille, 1882
パリでの商業的成功をたくらむ田舎青年オクターヴは中流階級の人々が暮らすアパルトマンに居を得て、その実態をつぶさに観察する。結婚道徳に縛られたパリのブルジョワたちは、その貞淑さの陰で展開する驚くべき放埒な姿をオクターヴの眼に晒し、偽善と悪徳の喜劇を演じていくのだった。
ルーゴン・マッカール双書第10巻。結婚と性をめぐる中流ブルジョワの道徳的頽廃をテーマにしている点で、上流階級と娼婦を描いた前巻『ナナ』と一対をなしている。ゾラの作品中でも冷徹な観察に特に秀で、女中たちの罵詈雑言を忠実に写し取っているなど、風俗記録としての評価も高い。
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