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自由

静かな語り口で「自由」への愛着を謳いあげる詩。
Paul Eluard 'Liberté' "Poésie et vérité 1942", 1942
安藤元雄・入沢康夫・渋沢孝輔編『フランス名詩選』(岩波文庫1998年)所収


【1】 大島弓子の漫画で、エリュアールのこの詩をモチーフにしたもの(「ローズティーセレモニー」)を読んだことがあったので、「自由」と名づけられたこの詩のことを、知らないわけではなかった。しかし、今回、意識せず『フランス名詩選』を入手して、それから初めてこの詩の原文が掲載されていることに気づいたのだが、読んでみてあらためて非常に感銘を受けたのである。

Sur mes cahiers d'écolier
Sur mon pupitre et des arbres
Sur le sable sur la neige
J'écris ton nom

「僕の学校のノートの上に
僕の教室机と木々の上に
砂の上に、雪の上に
僕は君の名を書く」

という一節で始まるこの詩は、詩にしてはかなりの長さに及ぶ。
 しかし、この「君の名(ton nom)」の「君」というのが誰のことを言っているのかは、はじめは読みとることができない。それどころか、次々と読みすすめていっても、なかなか明言されないのである。ただ、"J'écris ton nom"という切れのいい文句で閉じられる4行ずつのブロックが、ひたすら、延々と続いてゆく。
【2】 そしてこの長い詩の最後に至って、読者は、作者がこれほどまでに想いをこめて書き続けた「君」の名とはなんであったかを、ようやく知らされることになる。

Et par le pouvoir d'un mot
Je recommence ma vie
Je suis né pour te connaître
Pour te nommer

Liberté.

「ひとつの言葉の力によって
僕は再び人生を始める
僕は生まれた、君を知るため
君の名を呼ぶために

自由、と。」
(訳は朝倉)

 この最後の部分の原文は、言葉の連なりがあまりに美しく、朗読してみるだけで厳粛な感情が湧きおこってくる。基礎だけでもフランス語を学んでおいてよかった、と私は思ったものである。

ノート
字数:830
初稿:2000/05/05
初掲:2000/05/19
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DATA:エリュアール
DATA:『詩と真実』
岩波書店
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