Corneille, Pierre (1606-1684) 17世紀の劇作家。ルーアンの小市民の子に生まれ法律を学ぶが、23歳のときの最初の成功作『メリット』をきっかけに次々と喜劇を発表する。のちに悲劇に転じ、31歳で傑作『ル・シッド』を完成。名誉のために生き、強い意志と明晰な理性のもとに行動する英雄的人間を描いて古典劇の基礎を築いた。『ル・シッド』の三単一の規則への適合をめぐって「ル・シッド論争」を起こす。晩年は困窮し、息子たちの相次ぐ戦死に落胆しつつ生涯を終えた。
Racine, Jean (1639-1699) 17世紀の劇作家。パリ郊外の小役人の長男だが3歳で孤児となる。古代ギリシア文学の研究ののち聖職の時期を経て創作に転じ、最初の悲劇『テバイッド』から28歳のときの傑作『アンドロマック』で名声を確立する。人物の内面で進行するドラマを描き、愛、嫉妬、憎しみなど激しい情念にとらわれた女の悲劇を、三単一の規則を完全に遵守した古典劇へ結実させていった。その優雅な表現は美しいフランス語の典型とされる。ブルジョワの娘カトリーヌとの間に七人の子。